□ずっといつもその場所に
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ねぇ、笑っているよね・・・?
ジョンヒョン「なまえー!こらーなまえー!!」
なまえ「・・へ?」
呼び止められて私は、とんきょうな声を上げた。
ジョンヒョンはむんずっ、と私の肩を掴む。
振り返った彼の顔は、少し膨れっ面だった。
なまえ「・・・・ど、どうしたの?」
ジョンヒョン「お前今日、何の日だと思ってるんだ」
ミノ「ジョンヒョンの誕生日だと思ってますよ、ねぇ?」
ジョンヒョン「ミノは黙ってなさい」
ミノ「はぁ〜い」
となりに立っていたミノは、怒られても楽しそうに笑い、私の手をぎゅっ、と握って、ジョンヒョンから離すように後ろに隠した。
ジョンヒョン「なまえ、今日は誰の誕生日だ?」
なまえ「ジョンヒョン!」
ジョンヒョン「その俺に何か渡すものはないのか?」
なまえ「守ることのない口約束とかそーいうの?」
ジョンヒョン「・・ちがう、」
ジョンヒョンはミノの背中から顔を出す私の目をじっと見つめる。
ミノとつないでいた手に、じっとりと汗をかく。
なまえ「・・・・でも、私、幸せだからいいでしょ?」
ジョンヒョン「あ?」
なまえ「"私の喜びは、君の幸せになる・・・"、でしょ?」
ジョンヒョン「ちがう、"俺の喜びがきみの幸せになるのなら…"だ、」
なまえ「そうだっけ?」
ジョンヒョン「それに俺はまだもらってないから"ありがとう"は言えないし!」
ぐいっ、と腕を引こうとしたその手は、ミンホがかろうじて早く私の腕を背中に隠したので空振りに終わった。
ジョンヒョンは空気を掴んだその手を、ばつの悪そうな顔でそっと体の横に戻した。
それから、私を指さして言った。
ジョンヒョン「いいか・・・?ずっと、そこにいろよ!」
なまえ「・・・・は?」
ジョンヒョン「お前はずっと、そこにいろ!そんで・・」
ミノ「どうしたのヒョン?」
ジョンヒョン「うるせーな!‥"気持ちを伝えんのはいつも遅い"んだよ俺は!」
言いかけた言葉を、ミンホが笑いながら茶化しても、ジョンヒョンはぐっと奥歯を噛み締めて耐えて、もう一度私を見つめた。
ジョンヒョン「でも・・でも俺は、・・・"一生お前のために歌を歌う"からな!」
吸い込まれそうな真剣な瞳に、私は「あ、はい‥」と思わず口から出ていた言葉と一緒に頷いていた。
ジョンヒョンはそれをきくとにんまり笑って。
ジョンヒョン「今年のプレゼントは、来年まで待っててやる!」
そう言ってくるりと踵を返した。
「ずっとそこにいろ・・」
「来年は、俺が抱きしめてやる・・」
廊下を歩きながら、彼はぶつぶつとそう言って消えて行った。
ミンホは横で、呆然と立ち尽くす私の背中を、ぽんぽんっ、と叩いた。
【ずっといつもその場所に】
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