□私がいなくても平気だと思ってた
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お互いに、

人間関係はよく"見抜けた"方だった。


だから友達になれた。


私たちは互いに必要なものを見抜く力がある。


損、得ではなくて。

この人が自分と気が合うかどうか。

自分にとって大事かどうか。


自分を大事にしてくれるかどうか。





それを、"見抜けてた"と、思ってた。










なまえ「おじゃましまーす」



ミノ「おかえり、どこ行ってたんですか?」



なまえ「どこ‥って。仕事だよ」


ミノ「誰と?男の人?」


なまえ「男・・・って、上司だよ!」


ミノ「そうなんだ。あんまり遅い時間だから心配しましたよ」



ミノはそういうと、部屋に行ってしまう。

彼氏でもないのに、ミノは少々詮索が厳しい。この家にでいるする人の何もかもを知っていないと気が済まないみたいだ。

ミノは適度に会う友達ならいいけど、それ以上の関係ならNG。お気に入りの手帳に人物紹介を書くなら、間違いなくミノの欄には"束縛注意"と書くだろう。




key「あれっ!なまえ今日来る日だったの?」


なまえ「あーうん、ジョンヒョンに呼ばれてね」


key「ほんとっ?あの人今テミナとコンビニに行ってるよ」


なまえ「知ってる。さっきメールきた」


key「あ!DVD見る?僕昨日新しいの借りてきたんだ」


なまえ「すぐジョンヒョン戻ってくるからいいよ」


key「じゃあ、お茶いれようか!」


なまえ「いいよ、遅いから。どうせすぐ帰るし」


key「え〜泊まっていっちゃえばいいのに!何が足りないの?化粧品?パジャマ?僕ベッドもシーツちゃんと今朝洗ってあるやつだよ?」


なまえ「キ-ボ-ム-いいから!」


key「なんにもよくないよ、なまえが来てるのに・・・」



私が仁王立ちして溜め息を落とすと、キボムはようやく、しぶしぶといった顔をして自分の部屋に戻っていった。
彼は一見はぶっきらぼうに見えて、実はかまって欲しいタイプ。広くて浅い人間関係に囲まれてるため、一度懐に入り込むと放してもらえない。

"実は甘えたでべったり"。








テミン「たっだいま〜♪」




なまえ「おかえり」


テミン「あれ!なまえヌナ来てたんだ!」


なまえ「すぐ帰るけどね」



ジョンヒョン「帰っちゃうの?」


なまえ「帰るわよ」


渡し忘れてた書類をテーブルの上に置くと、
ジョンヒョンがプラスチックの容器に入ったカフェオレにストローを刺して、私に渡してきた。


ジョンヒョン「はい、なまえちゃんの」



なまえ「ありがと・・」



テミン「ねぇねぇ、僕が言ってた漫画は?持ってきてくれた?」

なまえ「Σあー忘れた!・・・って、持ってこれるわけないじゃん!仕事帰りなんだから!さっきでしょ?別れたの!」


テミン「そうだっけ?」


なまえ「あなたの1日の記憶はコンビニに置いてきたの?」

テミン「そうかも!やばいヒョン!コンビニに財布忘れてきたかも!」


ジョンヒョン「安心しろ。お前は財布なんて持って来てなかったから!」



ひょいっ、とソファーの上に置きっぱなしにされてた財布をテミンに投げるジョンヒョン。


テミン「ヌナ〜明日の仕事ってなんだっけ?」

ジョンヒョン「明日のことは起きてから考えればいいからお前はもう寝なさい!」


テミン「え〜?8巻は〜?」


ジョンヒョン「だから!ねーって!」



ジョンヒョンはテミンの背中に手を置いて、彼を押し出すように廊下に出させる。

テミンくんは天然なのか、どこか抜けててかわいらしい。それが時々いらいらもさせるけど、それが彼の持ち味なのだろう。でも友達以上にはなれそうにない。

彼はあまりにも"公私混同しすぎる"。






ジョンヒョン「いや〜。レジの人がファンで、ね?サインしてたら遅くなっちゃったの」


なまえ「別にいいよ、仕事の延長だし」


ジョンヒョン「あそ。俺と会うのには時給が発生してるんだ?しかも残業分!」


なまえ「・・べつにしてるとか言ってないけど」


ジョンヒョン「じゃあなに?これ?プライベート?」


なまえ「プライベート・・ってわけ、じゃ・・・」




ジョンヒョン「・・・・・そういえば、ヒョンは?」






「ヒョンは?」っていうのはつまり、オニュのことを指す。

さっきまで一緒に番組収録で、スタッフにも挨拶をして別れて帰ってきたばかりだ。オニュだけ挨拶が遅くなってバンに乗れず、私が後から送る・・・そういうことだった。


ジョンヒョンとは、

この仕事について、彼らとやっていくようになった初日から仲良くなった。髪型や服装。食べ物の話まで‥ありとあらゆることを放し尽くした。
正直、友達以上の関係でないのが不思議なくらい、一緒の時間をたくさん過ごした。

今だって、

「書類を忘れた」と言われれば、残業手当がつかなくたって家まで届けるし。

相談があると言われればお互いにどちらの話だって快く聞いた。

私たちは実にいい"友達"だった。






けど、それだけだ。








ジョンヒョン「・・・ヒョンと、一緒に帰ってきたんだよね?」


なまえ「あー・うん」



歯切れの悪い返事をすると。ジョンヒョンの表情が一瞬で少し変わったのがわかった。
それが、いいのか悪いのかは、今まだ言えない。


ジョンヒョン「ヒョン、どこにいるの?」


なまえ「・・・車の中」


ジョンヒョン「なんで上がってこないの?」



なまえ「これから…また出かける、から」


ジョンヒョン「深夜だよ?」



ジョンヒョンは茶化すように言うけど、眼は全然笑ってなかった。



なまえ「ごめん、うん・・」



ジョンヒョン「なんのごめん?それ?」



なまえ「じゃあなんで怒ってんの?」


ジョンヒョン「怒ってないよ。呆れてるだけ」


なまえ「は?なにに呆れてるわけ?」


ジョンヒョン「わかんないの?」





ジョンヒョンはそっと包むように私の手を握ると、それを持ち上げて自分の胸に押し合てた。



なまえ「?」



ジョンヒョン「・・どき、どき!」



なまえ「・・・・ん?」



ジョンヒョン「え、ほんとに?わかんないの?」



なまえ「え、・・へ?なに?」




ぽかんとしたあと、ちょっと眉をひそめると、

ジョンヒョンは掴んでいた手をバッ、と勢いよく放した。




ジョンヒョン「もう、いいっ!」




なまえ「・・・はぁ?」




ジョンヒョン「なまえちゃんとは友達!しない!」



なまえ「・・・・はぁぁ??」




ジョンヒョンは加減しながらも私の手をベチッ!と叩いた。




ジョンヒョン「なまえのばかっ!」


なまえ「はぁあっ??痛いし!#」











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