□想いはせめて君が気づいて
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久しぶりに担当のなまえと一緒に帰った。

なまえはデビューして1年後くらいから新しく加わったスタッフのメンバーで。

初期のメンバーなんてそれこそ数えるほどで。

SHINeeという僕たちを創ってくれているスタッフは入れ替わりも多くて。もちろん、人を導いたりする人っていうのは、ある程度の経験と実績を積んだら独立していくのが通例で。移動何んてよくあることだった。

なまえはそんな中で、もう古株といっていいくらいだ。

僕らを導いて2年もすればベテランだ。

付き添いや朝呼びに起こしに来たりするような雑用はだいたいが新人がやるような仕事で。

なまえはいつの間にか上と話したりする時間の方が多くなって、僕たちと長く時間をとれなくなった。



ましてや、

一緒にこうして帰るだなんて・・。









オニュ「・・・ひさし、ぶりだね」

なまえ「ん?・・・ああ、そうだね」


オニュ「元気だった?」

なまえ「ステージ見てたの、知ってるでしょ?」



彼女は振り返って僕に微笑む。


いつもはモニターでチェックしたり、リハーサルを鑑賞して残りは社に戻ってしまったりすることも多い。

本番まで居てくれたことがうれしかった、なんて。


・・・君は気付いてないんだろうね。





なまえ「・・・すごい、よかった」


オニュ「ほんとう?」


うっとりしたように目を輝かせる君に、なんて顔をしていいかわからずに照れたフリをして下を向いた。

純粋にステージが決まっていて完璧だったと褒めてくれているだけなのに、

僕はついつい邪心を抱いてしまう。




なまえ「・・・オニュがかっこよくて・・本当にびっくりしたよ」


オニュ「・・・・・・え?」



思わず真剣な顔で振り向いた僕に、君は驚いた顔をした。



オニュ「・・・・いま、なんて?」


なまえ「いや、だから・・・オニュくん、ステージだと、すごいかっこいいんだな、って」


オニュ「・・・・・え、今までさんざんステージと素でギャップがあるとか言われてきてたのに今、そこ気付いた?の?」


なまえ「いや、今までステージと素で違うなんて思って見たことなかったし・・」


オニュ「そんなのジョンヒョンだけだよ」


なまえ「そっか・・・」




しょんぼりと肩を落とすなまえの隣に、ゆっくりとした歩幅に合わせて横に並ぶ。






オニュ「・・・・でも、かっこいいって思ってくれた?」


なまえ「え?あ、うん?」


オニュ「・・・そっか」


なまえ「ごめ、んね?」


オニュ「え、なにが?」


なまえ「そんな‥言われてること気付かなくて」


オニュ「いや、主観とかは人それぞれ違うから」




なんだか少しよそよそしい彼女に振り向いたまま、僕は少し歩みを止めてみた。


彼女は気付いて、一緒に止まってくれる。




オニュ「あのさ・・・」



なまえ「・・・・うん」







オニュ「なまえ・・ほんとうは僕のこと・・・・・・・・・」









長い沈黙になってしまうほど、その先の単語が言えなくてもどかしい。



先を聞いてしまって、もし"違う"と言われてしまったら、・・・・怖い。



怖気づいて僕は、言葉の先を言えなくなってしまった。





なまえ「・・・・オニュ?」


オニュ「いや。ううん、何でもない」






・・・結局

蓋をしておくことしかできなかった。




僕は、自分で思ってた以上に臆病な人間だったみたいだ。



なまえ「・・なにか、訊きたいこと?」


そう、問われて僕は





オニュ「ううん、ただ・・・なまえがステージを見に来てくれて嬉しい、って云いたかっただけ」





君に微笑んで本音を伝えることが精一杯だった。










【想いはせめて君が気付いて】



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