□もっとかまって下さい
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このところ、なまえちゃんがちっとも宿舎に顔を出してくれない。
ジョンヒョン「おあ〜〜〜〜ひまだ〜〜〜〜」
ミノ「電話してみればいいじゃないですか」
俺と違って、ミノは忙しそうだ。
ソファーでごろごろしている俺とは対照的に、ミノはテキパキと体を動かして出勤の準備だ。いやぁ、仕事のある人間は偉いね。
ミノ「きいてました?ヒョン」
ジョンヒョン「うえ〜〜。だって〜出てくんなかったら?俺のなまえちゃんゲージがもうすっかすかのカッスカスなのに?電話に万が一出なかったら?!・・・無理無理無理ぃ!!俺のゲージなくなっちゃう!!そんな攻撃されたら俺しんじゃう!!」
ゴロンゴロンする俺を、ミノがメンドクサソウに見下ろして苦笑いする。
ミノ「どんな攻撃ですか」
ジョンヒョン「しらないの?!マダンテ飛んでくるよ!でも俺は今ザキくらっただけで死んじゃうけどね!!」
ミノ「ホイミかけてあげますから元気出してくださいよ」
ジョンヒョン「小ぃせ〜〜」
ミノ「じゃあベホイミ」
ジョンヒョン「でも俺、HP回復してもMPないとだめな感じだと思う」
ミノ「じゃあマホリクかけてあげるから」
ジョンヒョン「お前はどんな回復系の勇者なの(笑)」
ミノ「お望みとあらばメガザルもうちますよ」
ジョンヒョン「お前がいなくなるのは駄目だよ」
ミノ「じゃあ、とりあえずキアリクかけてあげるから」
ミノがそう言うと同時に、ジョンヒョンはむくりとソファーから起き上がった。
ミノ「目が覚めました?」
ジョンヒョン「うん、ちょっと元気でてきた」
ミノ「じゃあ、電話、してみて下さい」
ミンホはジョンヒョンのギャラクシーを彼に投げて言う。
けれど、受け取った方のジョンヒョンは、
やっぱり浮かない顔をして携帯と睨めっこしていた。
ミノ「・・・・ヒョン?」
ジョンヒョン「やっぱ。いいよ」
ミノ「・・・え?」
せっかくここまで手伝ってモチベーションを上げるのに協力したのに。
予想外の答えに、ミンホは少し頓狂な声あげた。
けど、起き上がって携帯を眺めている彼は、
さっきと変わらない状況なのに、も関わらず、少し嬉しそうな顔、だった。
ジョンヒョン「俺、もうちょっと、待ってみる」
ポジティブなジョンヒョンの答えに、ミノは目を丸くして瞬きする。
ミノ「待ってても・・・すぐには、来ないと思いますよ?」
ジョンヒョン「いいの。なまえちゃん、忙しいんだと思うし。肝心な時には必ず来てくれる・・・なまえちゃんは、そーいう、人だから」
にっ、と歯を見せるジョンヒョンに、
ミノは呆れたように腕に時計をはめて、すっかり出る支度を整えた。
ミノ「じゃあ・・・寂しかったら、メールでも何でもしてくださいね?」
ジョンヒョン「おう」
ひらひらと手を振るジョンヒョンに軽く頭を下げ、ミンホは玄関から外へ。
ジョンヒョンはひとり部屋に取り残されると、またごろりとソファーに横になった。
腕をあげて携帯を見つめ、彼女からさいごにいつメールがきて、いつ着信があったのかを調べ直す。
(なまえちゃん・・・俺、今・・暇ですよ〜〜)
そんなこと思いながら携帯をスクロールする。
あれ・・。
なんだろ。でも、さっきより少し心が軽くなってる気がする。
(へんなの・・・ほんとにHP回復したのかな‥)
なまえちゃん・・・・
あいたいよ・・
俺、"待つこと"しかできない男だよ。
・・・ね、なまえちゃん?
【もっとかまって下さい】
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