□保寧に行ってきました
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朝事務所に来て、開口一番にテミンが、


テミン「なまえちゃんの携帯に知らないストラップついてた!」


って、俺に言ってきた時は、本当にびっくりした。



ジョンヒョン「え?え、なに?それ?」

テミン「わかんないけど、イニシャルとか数字とか書いてあるやつだよあれ!キューブ型のやつだったもん!」



興奮したように話すテミン。


なまえちゃんは昨日たしか、お休みで、どこかにお出かけする予定だって言ってた。たしか保寧市だったと思う。

海水浴シーズンでもないのにボリョン市なんて珍しいなって思ったから。

ソウルからは車で2、3時間だと話していたので、交通手段は車とみた。

普段そんな素振りがなかったから、全然心配してなかっただけに、


急に名前入りの(かどうかはわからない)ストラップを買ってきた、なんて言われて、心穏やかではいられない。



彼氏と行くなんてきいてなかったし・・・、むしろ彼氏がいるなんて知らなかったし。いや、もしかして・・・お見合いだったのかも。きっとそうだ。でなきゃ保寧なんて行くわけないし・・・。



ああ〜〜、どうせ俺なんてただのガキで頼りない年下だと思って甘くみられてたんでしょ!ああ〜〜〜!!悔しい!!

なんか憤慨してきた!!

なまえちゃんに文句言いにいっちゃおうかなっ。



そんなことを考えてたら、本当になまえちゃんがやってきた。

しかも、

大きなデブ猫を抱えてやってヨタヨタ歩いてきた!



ジョンヒョン「なまえちゃん・・・ど、どうしたの・・?」


なまえ「玄関の前で全然動かないからさ〜〜通行の邪魔だからもう、こうして裏まで運ぶわけ!」


ジョンヒョン「て、手伝おうか・・?ι」



でっぷり太った、つやっつやの毛並みの大柄の猫は、男らしいダンディーな顔立ちで、なまえちゃんに抱かれながら舐めた手でひげを整えてた。なんてふてぶて・・じゃなかった、胆の座った猫なんだ・・・!


なまえ「大丈夫、すぐそこだから」


なまえちゃんが猫をよいしょ、っと抱え直そうとした時。なまえちゃんの携帯が鳴りだした。


猫はびっくりしたのか、面倒くさくなったのか、凛々しい顔のまま優雅にぴょん、と腕の中から飛び出し床に着地すると、

非常灯の下の、開いてた勝手口から、さっさと外に出て行ってしまった。


猫を見送りながら、なまえちゃんが電話に出る。


書類の場所を訊かれたのか、棚の場所をこたえるとすぐに電話を切るなまえちゃん。


その携帯電話には、たしかにキューブ型のストラップがついてた。


3文字っぽいから、「KEN」とか?「JONG」・・あ、字余りか。「HYUN」・・・も、字余りか。じゃあやっぱり、「RUI」とかまさか「LAY」とか?


俺はとりあえず、自分の名前ではなさそうなことに落胆しつつ、携帯電話をパタン、と閉じるなまえちゃんをじいっと見てた。



なまえ「ど・・・どうしたの?」


ジョンヒョン「いや・・ストラップ、付いてるな、って」


なまえ「昨日お揃いで買ったんだ〜。いいでしょ!」



なまえちゃんは自慢げに揺らして見せた。




ジョンヒョン「・・それ、誰と買ったの?なんでそれにしたの?」


なまえ「なんで・・・って・・・か、かわいいから??ι」



なまえちゃんは少し困った顔をしてる。



ジョンヒョン「そんなのダサいよ!何今更イニシャルなんて!お揃いなんて恥ずかしげもなく何つけてきてんだよ!」




言うつもりはなかったのに、気が付いたら口から出てて・・・。



しまったって、時には、なまえちゃんがストラップをいじりながら俯いてた。




なまえ「・・・・そ、そりゃあ・・ジョンヒョンは嫌かもしれないけど・・・・い、いいじゃん、私がジョンヒョンを好きだって言うことくらい・・・」



くるくるストラップを指に巻きつけて呟くように言うなまえちゃん。



ジョンヒョン「・・・え?え?何?もう一回言って?」


俺は彼女の指で遊ばれてるストラップをもぎ取るように掴んで、しげしげと見つめる。



なまえ「ジョンヒョンの・・・」

ジョンヒョン「4・8・・・・」



そのキューブに描かれてたのは、イニシャルでもなんでもなくて。

むしろ・・・まさか・・・・俺の誕生日の数字だった。



なまえ「いいよ。そんなに嫌なら、それもう、ジョンヒョンにあげる!」


ジョンヒョン「Σいやっ!!いやっ!ちがっ・・!持ってて!!それはなまえちゃんが持ってて!!」


なまえ「だって、こんなのつけてるの恥ずかしいんでしょ?駄目なんでしょ?」


ジョンヒョン「だめじゃない!!恥ずかしくない!嫌じゃないから!!つけてて!!!」



俺が、あんまりにも必死になるもんだから、なまえが眉間にしわを寄せて、不信そうに小首をかしげる。




ジョンヒョン「・・・・いや、ごめん・・てっきり、彼氏のイニシャルかと思って・・・」


なまえ「彼氏いるわけないじゃん???」



なまえちゃんが真顔で返してくるので、俺の胸にぐさりとささる。ご、ごもっともです・・。


ジョンヒョン「いやぁ・・お、お見合いしたのかと・・思って・・てっきり・・・・」



なまえ「・・・??はぁ?昨日は友達と出かけるって言ったでしょ?お土産に、その子とお揃いで買ったんだよ」


ジョンヒョン「で、ですよね・・・ι」


俺はもうたじたじ。穴があったらはいりたいくらいだ。



なまえちゃんは謎が解けて安心したのか、携帯についてるそのストラップの端についてるマスコットを指で撫でて、俺に見せる。


なまえ「可愛いでしょ〜^^」



ジョンヒョン「ほ、ほんとだね・・」




もうその、揺れる生物がなんなのかもよくわからないほど、俺の頭は真っ白だったけど。なまえちゃんが機嫌を直したように、にこっ、と笑ってくれたので、すべて良しとしよう。



ジョンヒョン「ちなみにお友達の数字はなんだったの?」


なまえ「12・14」

ジョンヒョン「あ、なる・・ほど・・・」

なまえ「二つ合わせるとヒョニ・・」

ジョンヒョン「そこは言わなくてもいいや!」





こうして、なまえちゃんのストラップの謎は解けた。



なまえ「あ、そうだ。ボリョンのお土産あるよ」


そう言って彼女がポケットから取り出した紫色の袋に入ってるのはどうみたって、駄菓子。



ジョンヒョン「え・・?」

なまえ「わたパチ」

ジョンヒョン「いや、知ってる」

なまえ「昨日もらったんだ。食べなよ!」


ジョンヒョン「え・・これ、お土産?」

なまえ「貴重だよ?知ってる?わたパチ?」

ジョンヒョン「いや、これ、ボリョン関係ないでしょ」


なまえ「いいんだよ!昨日の!ものなんだから!」


ジョンヒョン「・・・・あ、りがとうございます・・」





そして俺は、無事に彼女からお土産(?)もゲットした。



めでたしめでたし!


 

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