□秋を感じていますか?
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読書の秋。食欲の秋。スポーツの秋。


秋の夜長。



やりたいことがたくさん見つかりそうな、秋。






僕はとりあえず、分厚い新書をいくつも出窓のところに置いて、月明かりを頼りに机の上のスタンドの明かりをつけた。


明るすぎないように壁の方にライトを向けて、まず1冊手に取る。

ギシリと古い椅子の背もたれを揺らして、のんびり、ゆっくりとくつろぐように体を椅子に沈みこませ、ページをめくる。


捲るたびに広がる、まだ知らない物語や世界が飛び込んでくる感覚がやめられない。


読めるうちに読んでおこう、なんてため込んでた本は、いつのまにかこんなに増えてしまった。


僕はチラリと、出窓の本たちに目を向ける。


月の白い光に表紙を当てながら、本たちは僕に読まれるのを静かに待っている。


僕はまた目を手元の本に戻して。物語の世界に戻っていった。



ふいに、窓ガラスがカタカタ揺れて、風が強くなってきたみたいだった。


そういえば少し肌寒いかな・・・。


僕はベッドからブランケットを引き摺って持ってきて足元を覆うように掛け、また本を開く。


雲で月が見え隠れしているのか、窓辺の本の表紙に、雲の通り過ぎる影が、流れては消えて行った。


手元の本を無意識にぺらりと捲っていると、カサッ、と指に音がして、目を向ければ本の間に落ち葉が挿んであった。


しおりにしていたのか・・・


それとも、押し花にしようとしてたのかな・・・。


僕は落ち葉を拾うようにつまんで、指でクルリと両面まわしてみる。


丸みを帯びた葉は、焼き芋の形みたいに見えた。




オニュ「秋だなぁ・・・」





独り言のように呟くと、僕はまたページをめくった。


秋は僕の知識を豊富にしてくれる。


知っていることが増えると、僕はちょっとだけ安堵する。



秋は、僕を安心させてくれる。



僕は秋が好きだ。



それは冬生まれの僕が、秋はお腹の中で何の不安もなく安心して暮らしていた時期だから、かもしれない。


そんなことを考える僕はシュールなんだろうか・・?




まぁ、・・・いいか。





僕はまた、本に目を落とし、ぺらりと本をめくった。


本をめくる時、微かに。紙の匂いと一緒に秋の香りがした。



物語はまだまだ続いていく。





秋の夜は、これから――・・・。














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