□それぞれ
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なまえちゃんが、がばっ!と勢いよく寝転がってたソファーから起き上がってこう言った。






なまえ「あ〜〜〜もうっ!書けないッ!!」



ジョンヒョン「ん?」



なまえちゃんの言う、"書けない"っていうのは、小説のこと。


たびたび出版社に持ち込んではいるものの、去年とった新人賞の佳作どまりで、なかなか芽が出ない。

自称、作家。

だけどそれはまだ夢の夢。


夢を追い続ける人は綺麗だ。


現になまえちゃんは綺麗だし、可愛いし、おまけに面白い。


物を書く人って言うのはみんなこう、個性的なんだろうか。


僕は物書きの友達はなまえちゃんしか知らないからわからないけど、見ているだけで面白いなまえちゃんは、友達に一人いたらきっと楽しいと思う。

なまえちゃんは、そーいう、ヒトだ。




なまえちゃんは頭を振っては足をばたばたさせながら、「書けない〜書けない〜」を連発している。




ジョンヒョン「なまえちゃん、書けないなら寝ちゃえば?」


なまえ「そうはいかないよ!次回の締め切りもう月末なんだよ?!そんなのんびりしていられないよ!」


ジョンヒョン「また書ける時に書いて出版社に持っていけばいいじゃん?」



そう言うとなまえちゃんは、じとっと俺を見る。


俺は200回目の腕立て伏せを終えたばかりで、汗だくのランニングウェアを着たままなまえちゃんを見上げる。


よいせっ、と体を起こし、汗をかいた体のまま鏡の前に立って自分の肉体を確認する。


なまえ「ナルシストだよ〜〜ジョンヒョンくん〜〜」


ジョンヒョン「うっせーな。いーのっ!好きで鍛えてんだから!筋トレは俺の趣味でしょ?なまえちゃんが毎日パソコンに向かうのと一緒っ!」


なまえ「知ってるけど、鏡は見ないもの」


ジョンヒョン「い〜でしょ〜よ〜ww鏡見たって!なまえちゃんも知ってるでしょ?俺がヒョロヒョロだった頃を!」


なまえ「いや、知ってるけどさw」


ジョンヒョン「筋肉は男のロマンだよ」


なまえ「さようですか」



なまえちゃんはふらりと立ち上がると、近くに在ったパソコンの電源を入れる。



ジョンヒョン「ムキムキの俺の筋肉触る?」


服の上からでもわかるように胸筋をピクピク動かして見せたら、すごい蔑んだような目で「いい」とバッサリ断られた。


なまえちゃんは俺の善意も平気で踏みにじる・・そーいう人だ。(笑)




なまえ「・・・・そういえば、来週で何日になるんだっけ?」



ジョンヒョン「へ?え、1000日のこと?」



アッサリ答えると、なまえちゃんはちょっと、驚いた顔をした。




なまえ「普通・・・覚えてる?」




ジョンヒョン「ふつー、覚えてるでしょ」



俺がにんまり口角を上げて見せると、なまえちゃんは参りましたって顔して、肩を揺らした。




ジョンヒョン「でも、よかった、」


なまえ「え?」


ジョンヒョン「俺だけがなまえちゃんのこと、特別に思ってんのかと思ってた。なまえちゃんも同じ気持ちだったんだね?」


なまえ「ま、まぁね・・・」



テレを隠してはいるけど、その、内心実は恥ずかしがってるなまえちゃんも、すごく可愛い。




ジョンヒョン「なまえちゃん、自分のこと書けばいいのに?」



なまえ「・・へ?」



なまえちゃんが素っ頓狂な声を出す。




ジョンヒョン「だってそうでしょ?作り物の主人公を考えるより、ずっとずっとなまえちゃんの生き方の方が面白いと思うよ?」


なまえ「え・・っ、え、でもヒロインの相手はどうするのよ?」


ジョンヒョン「そんなん、俺でいいじゃん?」


なまえ「はぁっ?!」



歯を見せてニッ、と笑って見せる俺に、なまえちゃんは呆れ顔。




なまえ「そんなの書けるわけないでしょ」


ジョンヒョン「え〜なんで〜」


なまえ「そ、そんなのっ私が思ってること全部ジョンヒョンに駄々漏れってことでしょ?!」


ジョンヒョン「いいじゃ〜んww」




クツクツ肩を揺らして笑いながら、俺は汗を流しにシャワーを浴びに行く。


なまえちゃんはくるりと椅子を回転させてパソコンのデスクに向かった。






夜にまた、同じ布団に入るまで――。













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