□過保護
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ミノ「ヒョン!ちゃんと上着は持ちましたか?」

なまえ「傘は?持ってッた方がいいよ?」



ジョンヒョン「・・・だぁっ!お前らは俺のなんなのっ!」




ミノ「・・・・しゃいにーの弟ですよ」

なまえ「同じくおねーさんですよ」




ジョンヒョン「わかったから、もう2人で付き合ってくれ!」






【過保護】





なまえちゃんとミノはうっとおしいほど俺に過保護だ。


やれ正露丸は持ったのかとか、朝ヤクルトは飲んだのか、からはじまり、

夜は夜で俺が寝るまで心配して話しかけてくるようなやつらだ。



俺もいいかげん子供じゃないし、2人がいっそのことくっついて、

子離れや親離れならぬ"俺離れ"でもしてくれないかと願うばかりだ。



そんなふたりを、


たまたまランチに使う食堂のラウンジで見つけた。



声をかけようかと、近づく俺。





ミノ「だいたいなまえさんは過保護ですよ」


なまえ「いやいや、それは自分でしょ?」


ミノ「僕のはだって・・・・同じメンバーなら当然じゃないですか。なまえさんは赤の他人です」


なまえ「何それ嫉妬?私が純粋にジョンヒョンを心配してちゃいけないわけ?」


ミノ「そうじゃないですよ。友達としての忠告なら度を越してるっていいたいんです」


なまえ「それはミノくんも一緒でしょ?」


ミノ「僕のは・・・、」




ジョンヒョン「どっちもどっちでしょ?」


言いかけたところで俺が後ろから声をかけたので、二人は同時に俺の方を振り返った。

仕草や行動パターンが逐一似ているなまえちゃんとミノ。

ふたりは息もぴったり。

付き合うならぜったいお似合いだと思うのにな。

恋愛って難しいな。



ミノ「これからご飯なんですか?」

なまえ「栄養のあるものちゃんと食べてる?」

ミノ「誰かさんみたいに肉ばっかり食べてちゃダメなんですよ?」

なまえ「お水持ってきてあげようか?」


ジョンヒョン「いいってば、」


立ち上がろうとするなまえちゃん。

口をつけば俺の話しかしない2人に苦笑いし、

俺は彼女を制して、2人の隣に座った。



ジョンヒョン「どうしていつも俺の話ばっかすんの?」

ミノ「そりゃあ・・・ヒョンが、心配だから」

なまえ「そうよ、」


ジョンヒョン「もっとほかに、することあんでしょ?」


なまえ「ないよ。ジョンヒョンの心配してるだけで毎日胸いっぱい、充実!」

ミノ「充実は別にしてないですけど、心配はもうしょうがないですよ、癖みたいなものですから」



俺はテーブルの上に乗せた日替わりプレートからご飯をすくって口に入れて、また口を開く。


ジョンヒョン「じゃあさ、俺がなまえちゃんに好きだって言ったらどうすんの?」


ミノ「・・・・は・・い?」



ミノは大きい目をさらに見開いた顔でびっくりして固まる。



ジョンヒョン「前から思ってたんだよね、なまえちゃんが彼女だったら、俺の理想なんじゃないかなぁって」


ねっ?と同意を求めるようになまえちゃんを見つめれば、

なまえちゃんも右側の人と同じ顔で固まってから、

俺はなんだか可笑しくなって。


スプーンを持つ手を止めて、ふき出すのを堪えるようにククッ、と笑った。



ミノ「ヒョン、」


ジョンヒョン「わりぃわりぃ」


怒ったように俺を見るミンホに謝り、俺は優しい表情を浮かべてなまえちゃんを見つめる。


なまえ「・・・え、ぇ、なにっ・・?」


ジョンヒョン「べつに?付き合って・・・くれるかな〜と思って」


なまえ「え、ジョ・・ジョンヒョンには・・・・もっと、好きな子、いるでしょ?」

ジョンヒョン「好きな子って?」


なまえ「え、えっ・・・え、っと・・」

ミノ「巨乳でグラマラスな人とか、若い子とか、美人とか!」


ジョンヒョン「え、なまえちゃんも十分可愛いし、俺趣味が合えば歳とか関係ないし、胸のサイズも気にしないよ?」


ミノ「え、でも・・ッ!」



ミノが口調を強める。俺はそれだけでもう笑いを堪えるのに必死だった。だって―。



ジョンヒョン「わーった、わーった、お前がそんなに俺になまえちゃんを渡したくないってことはな!」


ミノ「な・・っ!ιなにいってるんですか・・ッ」


ジョンヒョン「なまえちゃんもなまえちゃんだよ?本当に好きな気持ちを隠しちゃうなんて」


なまえ「違ッほんとうにジョンヒョンは心配なんだよっ?」


ジョンヒョン「はいはい。でも、ミノの次に、ね?」


なまえちゃんは目を丸くする。


ジョンヒョン「2人とも、近くにいすぎてわからなくなっちゃったんだよ。だから、共通の話題ばっかしちゃうんだ。けどもっと・・・・

お互いの話をして、いいと思うよ?」



俺はね、と付けたし、俺はまた日替わりランチを食べだした。


なまえちゃんとミノは、しばらく見つめ合ったまま固まってた。



・・・



次の日。


ミノ「ヒョン、サイフ持ちましたか?」

なまえ「携帯は?充電器差し込んだままにしてない?」



ジョンヒョン「してないよ、もうっ」



2人は相変わらずに過保護でしたが・・・。



ミノ「なまえ、チケット持ちましたか?」

なまえ「ミノくんは?地図ちゃんと持ってる?」



ふたりの心配性は、ちゃんとお互いにも向くようになりました。


ジョンヒョン「何?映画?いってらっしゃ〜い」

ミノ「戸締り忘れないで下さいよ?」

なまえ「遅くならないで帰ってくるからね」


ゆっくりしていけばいいのに、って思った言葉は、口に出さずに胸にしまっといた。


だってなんだか・・・。




「「いってきま〜す」」














急に胸のこの辺が、寂しくなった気がしてしまったから。






















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