戦国BASARA

□赤い瞳
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素直すぎるのもどうかと思う、そのぶんだけ枷が外れてしまうと手がつけられなくなるから

「……幸村、」

薄暗い地下に声が響いた

「また逃げるとでもいうのでござるか?」

いつもより一層赤を増した瞳は政宗を睨み付けそこに縛り付ける

「政宗殿には某だけいればよいのです、他の者など必要ありませぬ」

「小十郎が心配するしよ……」

「政宗殿は…某がお嫌いか?」


"嗚呼どうすればいい"

今の幸村を止められるものなどいるのだろうか
幸村の嫉妬深さがまさかここまでとは恋仲の政宗すら思ってはいなかった
気を抜いていたら拉致られこのザマだ
そのうち殺されるかもしれない……何分手首に食い込まんばかりにあの馬鹿力で縛られたのだ
しかも縄は引きちぎるには太過ぎる

「嫌いなんて言ってねぇだろ
ただこういうマネはやめろって」

「政宗殿が某を好いているのであれば他など必要ありませぬ
そうでありましょう?」

「………」

"一体どんな理屈だ"

そんな理屈生きてこのかた聞いたこともない、というよりこれはもはや理屈ではない
幸村の素の感情
政宗が他と話しているのは嫌だ
政宗が他と一緒にいるのは嫌だ
政宗が自分の隣にいないと嫌だ
政宗が政宗が政宗が政宗が……………
心の中で悪態をついていると幸村の腕が首に絡み付いてきた
ほんの少しだか政宗の身体がぴくりと動く

「某は政宗殿をこんなにもお慕い申し上げておりまする」

「…」

「いつ何時も共にいたいのです……だのに何故政宗殿は他の者とお戯れか
何故片倉殿の話ばかりされるか」

「………but
お前一人に構うってのはできねぇよ、俺は一国の主だ
民がいる、城にも仲間がいる、小十郎も…いる
そいつらを全員護らなきゃなならねぇ」

「………」

「それにあんたの前であんたの話をするのは可笑しくねぇか?」

「……………では、奥州が在る限り政宗殿は某と共には居られぬのですね?」

"………おい、待てそれって……"

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