戦国BASARA

□目を覚ましてよ、と
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何度も、何度も…それこそ声が枯れるまで呼んだ

「戻ってきてよ」

「団子作ったよ」

「早く起きなよ―――大将に怒られちゃうよ?」



「ねぇ、早く目を覚ましてよ」

それでも声は返ってこなくて、いつもなら団子で、それで起きなくても大将の名を出せば飛び起きて『うぉぉぉぉ!!!』って俺の鼓膜を破らんばかりに叫んで朝支度するのに……何で?
嗚呼今は朝ではない自分の姿と旦那の姿を見て思い出した
"ここ…戦場だっけ……"
俺が間に合わなかったから
助けてあげられなかった
銃弾を急所に受けて死んでしまった
護れなかった……
俺が旦那を抱き締めている周りには、沢山の屍
俺が斬った奴等
こんな澱んだ所で死んじゃって、アンタにはお日様の下で死ぬのが似合ってるのに

もうあの笑顔は見れない

ちょっと高いあの声で呼んでもらえない

朝起こしに行かなくてよくなってしまう

鍛練のあとに団子を作らなくてよくなってしまう

「旦ッ那……旦那!!早く起きないと、大将にッ………怒られちゃうよ…?!
団子作ってあげるから……最、近かなり美味しくッ…作れるようになったんだよ、だから、だからさぁ…!!」
お仕事頑張るよ
大将の上洛見たいんでしょ明日はみたらしにしてあげる
そういえばそろそろ城下でお祭りがあったね
竜の旦那と戦いたいとか言ってなかったっけ
刹那、呼吸しない身体は血を止めて冷たくなっていく
「嫌だ…死んじゃう、嫌だ…!!嫌だ嫌だ嫌だ!!!」
その体温を逃がすまいとさらに強く抱き締める、なのに旦那の身体は冷たくなる一方で………










護りきれなくて、御免なさい


"泣かせて、すまぬ"




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