戦国BASARA

□精神科は先生が優しすぎてウザイ
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来世に託した思い
例え今ここで命尽きたとしても来世で、平和になった争いの無い世の中で親友として、はたまた家族としてでも会おうと誓った

だが、その現実は厳しく再会は中々に叶え辛い環境となってしまい…今日19年間、一人とて会えてはいないのだ


このままこの世でも命尽きる、か?






「だからよぉ、アンタ精神科医だろ?俺が嘘ついてるかついてねぇかくらい解るだろうが」
「ああ勿論わかるとも、君は嘘などついてはいないよ」
「ならここから出しやがれ、you see?」
「それは出来ないな
君は夢と現実を取り違えてしまっている
それが治ったら、出してあげよう」
「っだぁから夢っつっても過去の事なんだよ!!」
「…ほら、今日はもう休んだ方が良い」
「話そらしてんじゃねぇよ」
椅子に座り精神科医と向き合うのは眼帯を右目に付けた大学生くらいの男
彼は小学生の頃、前世がなんだの過去の記憶を夢見だのと言い張った
彼の名を伊達政宗と言うのだが、政宗の母親は政宗を大層気味悪がり施設へと放り込もうとしていた、が、それは優しい父親に阻まれていた
その言い張りは小学校卒業まで続いた訳なのだが…政宗が高校二年生、進級間近の時、父親が病で倒れ死んだ
優しい父親が為に政宗は悲しみに暮れたのだがその通夜の日の夜、母親が行きなり問うてきた
『政宗、貴方昔、「前世がなんだの」とか言い張っていたわね?』
『…Ah?あぁ、まぁ…そうだけど……』
『あの話は本当なのかしら?』
『あんなLieついても仕方ねぇだろ』
『そう……なら良かったわ』
それが何だとでも言い返すように首をかしげる政宗、その返答に母親は微笑を浮かべた
『だ、そうです先生方、これを連れていってやってくださいな?これがいたら小二郎まで可笑しくなってしまう』
そう母親が言い放つと共に家具の影から現れたのが――――今現在椅子に向かい合い話している医者共だった
母親に上手くハメられたらしい、それでも政宗は抵抗を見せることは無かった
"小十郎なら絶対に俺を探し出せる"
前世、戦国の世にて政宗の側近として、はたまたその右目として動いた男
片倉小十郎
他にも二人、五月蝿いのと笑顔が気に食わないのがいる
さらに五月蝿い方は
「まさか俺のHoneyが男にいるとは思わなかったな…」
「どうしたんだい政宗君?」
過去を思いだし、いろいろ浸っていた政宗だが"君"付けに機敏に反応してぎっと医師を睨む
「おい、だからその君付けはやめr…」

ドゴシャバゴォォォン...


隣の部屋からか、物凄い、そりゃあもうあの頑丈なドアが破られたような音が響き、流石に政宗も言葉を止めて目を丸くする
確かに戦国時代を生き抜いた政宗だ、いくら精神病院のドアが固かろうと強かろうと破ることなど容易い
では、何故そうしないかといえばそんなことをして外に出て、小十郎を探し出してもオトンな小十郎のことだ
確実に雷が墜ちる
さて、音について戻るが医師の方はまたかといった目を壁越しに隣の部屋へと向けていた
「…What?なんだ今の」
「気にしないでも大丈夫だよ、ここには君と同じような人達が…」
「俺とここの狂った奴等を一緒にすんな
つーかよ、俺なんかより隣のcrazyな奴を相手にした方が良いんじゃねぇのか?Why?」
「向こうには向こうの医師がいるから」
そーかぃ、と目をゲンナリさせて政宗はそっぽを向く
ニコニコとしている目の前の精神科医、正直なところ何度殴り飛ばしてやろうかと試みたことか
だがそんなことをすれば確実に面倒なことになる
だがこの馬鹿にした態度、そろそろ政宗も限界であった
殴ったらドアをぶち破るかこの医師から鍵を盗るか何でもいい
小十郎には『馬鹿にされたから殴った』とでも言って葱と牛蒡について話を切り返せば何とかなるだろう
そう決め込んで振りかぶろうとしたときだった
隣の音源がドアの崩壊音だったのか、尋常ではないほど大音量な怒声が聞こえてきた
「某を馬鹿にするかぁぁぁぁ!!この真田源二郎幸村!嘘などついたこと、生きてこのかたあり申せん!!!」
「真田さん落ち着いて…!!」
「ええい!そなた等では拉致が明かぬわ!!
ここの上各の方を出されよ!!!」
随分と古風な言語と共にガッショーンだのパリィィンッだの破壊音が絶えない
「真田、幸…村?!!」
「あぁ、最近入ってきた子でね、とても元気な」
「会わせろ」
「…は?」
「だから真田幸村に会わせろ、あいつは俺のHoneyだ」
ぎんっと睨み付ける政宗の目は正しく過去戦場にて見せた独眼竜の目だった
殺気まで解き放ちそれをまともに受けた医師は案の定撃沈
椅子から滑り落ち床に倒れてしまった
「Shit!!とうとうやっちまった…まぁ、仕方ねぇよな?」
か弱い医師が悪い、と言うことで白衣を探り、見つけたカードキーを機械に読み込ませて部屋の外へと出た

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