戦国BASARA
□精神科は先生が優しすぎてウザイ
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今までこの一年と半分、危険人物だと出して貰えず身体が多少生ってはいたがそんなことは気にしている暇はない
出て直ぐ音のした隣の方を見ると…何とも悲惨な
ドアが可哀想なほどに粉々に砕けており、室内からは「触るな!」やら「離せぇぇ!!」と絶え間無く聞こえてくる怒声
「Oh…こりゃぁ死人が出るな……」
「佐助ッ!佐助ェェェ!!!」
「真田さん落ち着いて下さい!!ここは現実で"佐助"という人は夢の中だけの人なんだ!」
「だから何度も違うと申してあろう?!!佐助は何処かにおるのだ!佐助には某がついていなければ、彼奴には某が居なければ…!寂しい思いをしているかも知れぬ!!!」
せめて"佐助"ではなく自分の名前を呼んで欲しかったなーなんて苦笑しながら中に入ると、数名の医師に取り抑えられた青年が拳を振りかざしているNiceタイミングだった
おちゃらけも程々に政宗の顔色が一気に変わる
「stop stop stoーッp!!
アンタがそいつら殴ったら怪我じゃすまねぇだろ?!!」
気付いたら声を出して駆け寄っていた
バッと自分の声に振り向く医師数名にしまった…と政宗は頭を抱える
そんなことはどうでもいい、と先程までの怒声をピタリと止め、拳もゆるゆると落として政宗を元から大きな目を更に大きくして直視する少量の長い後髪を束ね、おでこに紅い鉢巻きをした青年
これが政宗が長年探していた三人の中の一人
五月蝿いし馬鹿だし吠えるし犬だし熱すぎるけれど、奥州筆頭である政宗すら認めた強さを備え持つ大切なMy Honey
真田幸村だった
「まッ………まさっ!!政宗殿?!!!!」
「It's been a long time幸村!!探したぜ?!」
「某も!某も政宗殿のことを探しており申したァァァァァ!!!!」
そう言うと停止状態の医師をはね除けて政宗の胸元にビョーンッとダイヴ
それを受け止めはした政宗だが"仔犬か、"という適切な突っ込みは胸のうちでしておく
「嘘つけ、アンタさっき忍の名前連呼してなかったか?」
「ぐッ……政宗殿はお強いので大丈夫かと思い」
「言い訳必死だな」
「言い訳等ではありませぬ!!政宗殿はとてもお強くお美しゅう方でござる!!」
「Haッ!そりゃどうも
…まぁ、馴れ合いしてる暇はもう無ぇみたいだがな」
「そのようでござるな」
周りを見ると何処から湧いて来たのを集めたのか、ぐるりと円形に白い白衣を着た医師達に囲まれていた
出入り口辺りにいる、他の医師達とは少し違った格好をしている二人はこの病院の中で上各と言うことを表しているのだろうか、その二人に数名が話し込んでいる
「そう作戦練ったところで俺らには勝てねぇよ」
「政宗殿、どう致しまするか?ここにいるということは、貴殿もまだ片倉殿が見付かっておらぬのでは」
「Ah、その通りだ
だからここを出ていく」
「ですが政宗殿…」
「堂々と出ていきゃぁいい、俺達は至って正常であってここにいる必要は無い you see?」
「それもそうでござるが政宗殿、この幸村既にかれこれ20回は脱走を試みておりまする」
「OーK、脱走は無理だな!」
体力onlyな幸村が素手で駄目だったと言うことは、政宗もおのずと無理であることを指し示した
更に先程出た廊下にスタンガンのようなものが消火器同様に設置されていたのを政宗は虚ろに思い出す
「どんな治療してんだここぁ……」
「かなり手荒でござる…どのみちロクなものではありませぬ」
「Oh、片仮名は言えるようになったのか」
「政宗殿まであの者共のように馬鹿にしないでくだされ!」
はははと笑っていると二人の医師が政宗と幸村に近付いてきた
「What?また俺達を捕まえるか?Haッ!出来るもんならやってみな!!」
「鍛練はこの世に生まれ落ちようとも欠かしてはおらぬ、お相手致そう」
「これ以上の抵抗は止めなさい、貴方達を別のもっと厳重な病院へ搬送します」
とうとう恐れていた事態が起きた、これだけ暴れれば目をつけられても可笑しくはない
これで脱け出すことは限り無く不可能となったわけだ
「ッ……某達は狂ってなど!!」
「幸村!!やめろ」
「政宗殿?!何故です?!!これでは佐助にッ……!!」
「暴れすぎたんだ、生まれてきた世界が悪かった…そう考えるしか無ぇ」
政宗は下を向き、諦めたとでも言うように手を上げ降参の意を示す
幸村もそれを見て、致し方なしに抵抗を止めたのだった