戦国BASARA

□精神科は先生が優しすぎてウザイ
3ページ/4ページ

「では、この二人は俺達で連れていきますから」
政宗と幸村が捕らえられた後、上級精神科医らしき二人のうちの耳にピアスをした医師がそう医師達に告げた
「ですが搬送は他の奴等と一緒に…」
「俺達が連れてくっつってんだ、まだ基本も覚えられてねぇてめぇらがとやかく言えんのか?
無駄口叩いてる暇があったら患者のメンタルでもしてろ」
片方の腕のみ裾を上げた体格のいい方がぎり、と眼鏡越しに睨むと医師達は尻込みしてぱらぱらと散っていく
その間に聞こえてくる密かな言葉はあまり良いものではない
『彼奴等有名な精神科大学のトップ2だからって調子こきやがって…』
『僕なんかもう2年もここにいるのに、まだ一週間もたたない彼奴等があの立場なんて理不尽だ!!』
『病院側も嫌な奴等を受け入れたもんだよ』
『大学側からの推薦でもあったらしいし…どこがいいんだか』
どれもこれも嫌味ばかりでこの二人がとけ込めていないことが政宗と幸村にもわかった
だがそんなことはお構い無し、どころか体格のいい方は開き直る
「ふん、成り上がりやがって」
「なぁーんにも知らない馬鹿のくせしてね」
二人とも眼鏡をかけており、さらに色付きレンズで目元が良く見えないのだが微笑を浮かべているように見えた……
―――――そこに後ずさる足一つ

ガシッ

「ッ何だよ!!」
「何を?!政宗殿から手を離せ!!」
「下手なことは考えるなよ?…そこのスタンガンを使って俺等を出し抜こうとかなぁ?」
「スタンガン…本当でござるか?!!」
「…Shitッ………!!」
「へー、やっぱり頭が回るね
でもそんなことしたらどうなるか…わからないわけじゃないでしょ?」
ピアスをした方は口端を上げて白衣から小さな使い捨ての注射器の束を取り出す、多分、患者対抗用の麻酔の類いだろう
何も政宗は諦めてはいなかった
取り敢えず武器だけでも確保しようと廊下に出て、スタンガンを手に入れる機会を伺っていたのだ
だが、それすらも見破られ失敗に終わった
「ま、大人しく搬送されてくださいよってね」
「……Ah?」
「おい、」
「ぁ、ッともかく早く行くよ」
二人の医師に縦に挟まれ連行されるような形で廊下を出口へと歩いていく
時々すれ違う医師達の視線があまりいいものではなく、バイオレンスな発想が頭を駆け巡る
「……」
「………」
「…ッ………」
「Hey、ちょっとpaceが早くないか?」
何気無い速度の上昇だったが、今、確信に変わった
ピアスをした医師は先程からチラチラと腕時計ばかりを気にしてそのチラチラをする度に加速していく
政宗が疑問に思って突然止まると後ろから歩いて来ていた幸村が「おぶっ」と政宗の背中にぶつかった
「止まるな!」
「何でそんなに急いでんだよ?もっとslowlyに行…」
「時間がないんだ!!」
そう叫ぶとピアスの医師は幸村の腕を掴み目の前の出口へと走り出す
「てめッ?!!!!幸村離っうぉおッ?!!」
政宗までもがもう片方に腕を引かれ駆け出す始末に
外へ駆け出るとピピッという音がして近くの軽自動車の鍵が開く
「急いで!早く!!」
「What?!Why?!!」
「理由は後ほど、ご無礼をお許しください!」
そう言うや否や、体格のいい医師は走ってそのまま反動に任せて開いた車の中に政宗を放り込む、幸村も同じく押し込まれているときだった
「その二人を捕まえろ!!
そいつら不法医師だ!!!」
「Ha?!!」
「小十郎さん早く車出して!!後ろ来てる来てる!!!!」
「言われなくともッ………!!」

グイッ ガシャコンッ ブロロロロローッ

「っくそ!邪魔だ!!」
体格のいい、"小十郎さん"と呼ばれた偽医者はそう怒鳴ると眼鏡を外して何処となり叩き付けた
そして下ろしていた前髪をその手でかき上げる
「あーあ…眼鏡割れちゃったじゃん」
「小十…郎?!!お前、小十郎だよなッ?!!!」
「申し訳ありません政宗様、貴方をお救いするためとは言え騙すなどッ…!!」
「わかった許すわかったから前を見ろ前!!」
顔を落としハンドルに突っ伏す小十郎に対して政宗は慌てて前を見るよう促した
「ならばそなたは…!」
「はーい、猿飛佐助でーす!」
「佐助ぇぇぇえええええッ!!!!!!!」
「はいストップ!今ここで抱き着かれると事故るから」
猿飛佐助、かつて幸村の戦忍兼オカンとして戦場に出て忍に似合わぬ目立つ程の働きを見せた真田十勇士忍長
ただ少しチャラけている上に只今運転している小十郎とは恋仲だ
後ろを向いて手のひらを突きだし幸村を制した佐助ではあったが隣の運転席から聞こえた「おらよぉっ!!」という掛け声(?)と共に車がキューカーブをキメて危うく席から飛び駆ける
シートベルトに命を救われた
「こっ、小十郎さ、?!!ちょっと張り切りすぎ…」
「これくらいしなけりゃぁあいつらは振り切れねぇだろ…腕が鳴るぜ!!!」
政宗&幸村 the 奪還作戦が成功した上に車でスピードをガンガン上げ、テンションが上がりすぎてヒートアップな片倉さん…
「Hey小十郎!そのまんまのspeedで行け」
「はっ!!政宗様!!」
「竜の旦那何熱上げちゃってんの?!!このまんま行ったら…!!」
「このまんまじゃねぇと後ろのcrazyな奴等にとっ捕まる」
ひょいと身をのりだし佐助が見たものは…後ろから同じような速度で追ってきている病院の車数台だった
「どっちが患者なんだかわかったもんじゃねぇなコレ……」
「某あんな大人になりたくはないでござる」
「是非ならないでください
つかなったら泣きますから、俺様」
「これから高速に入る、更に速度を上げるぞ」
小十郎のそれに『まだ上げるんですか』なんて嫌な顔をしたのは佐助であり、政宗と幸村は映画顔負けのカーレースに胸を踊らせていた
「車、あんまり無理させるとエンスト起こすから気を付けてよね」
「わかっている」
ETCはこの日のために加入済みなのか、速度を変えずにそのままゲートに突っ込んだ




――――場所は変わり某サービスエリア
後ろを見ても追ってくる気配はない、と言うことで四人は高速の線を変えてそこの手短なサービスエリアに停車し、休息をとっていた
「ふーっ…ここまで来りゃぁあいつらも追ってこないだろう
Thank you、助かったぜ小十郎、猿飛」
「某からも礼を言いまする
佐助と片倉殿が居なければ今頃は…」
「気にするな、この作戦を考えたのは猿飛だしな」
「意外だな」
「意外って何さ、竜の旦那俺様のことなめてるでしょ?」
「No、それ以下だ」
「…竜の旦那だけあいつらに突き出しちゃ駄目かなぁ」
「泣くぞ佐助」
「俺が許さねぇ」
さてさて戯れもほどほどに、政宗はずっと気になっていたことを聞いてみた
「なぁ、なんで俺らがあそこにいるのがわかったんだ?それに紛れ込むのもそうEasyじゃねぇだろ?」
「よく聞いてくれました!
俺様今ね、忍の経験生かして情報屋やってるんだよねー」
人探しは元から得意分野、というわけだ
「私は一年ほど前に佐助と会いまして、政宗様と真田を探すのにはそうかからなかったのですが…」
病院の警備が尋常でない程に固められており、忍び込む、というのは断念せざるを得なかった
そして少し手間は掛かるが、精神科専門大学のトップという偽造書類を作成
裏に手を回しに回して一週間というギリギリの猶予を作ったのだった
「旦那は予想通り騒ぎを起こしてくれるし竜の旦那も来てくれるし、予定通りに事が進んでくれたよ」
「だが佐助は急いでいたぞ?」
「あぁそれは竜の旦那が悪巧みした分時間が狂ったの」
「俺のせいにすんな猿!」
「残念でした人間の祖先は皆猿ですぅ〜」
「やめろ佐助、政宗様もいい加減大人になって下さい」
「こいつが悪ぃ」
「俺様は一秒の狂いもないよ」
「狂ってたから失敗したんだろーが」
「成功したじゃん」
「が、失敗はあった」
あーだこーだと止まらない二人に小十郎は一喝して場をおさめる
「コホン…とにかく、これからどう致しますか?」
「Ah…あぁ、俺は家は2つあった方がいいと思う」
「竜の旦那と旦那、俺様と小十郎さんってこと?」
「成る程…ならば私達の住んでいるマンションの隣が空いているので」
「これからは皆一緒にいられるのでござるな!!」
次は経済的なあーだこーだが始まった





<=END=>
→反省

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ