銀魂BASARA

□ありがちブラックホール
2ページ/2ページ

ぶちぶちと文句を言いながらも取ろうとしてくれている彼に感謝しつつも、見ている政宗は理由を話し始めた
「多分な、一回付け替えたときがあって…その時に置きっぱにしてたのをコイツが持っていったんじゃねぇかと思ってる」
"コイツ…?"
俺らの他に誰かいるのか?と沖田が後ろを向くと、突如視界に飛び込んでくる毛むくじゃら
「にゃぁー」
「わ、猫?!!」
「苦手か?」
「べつに
いきなり後ろにいられたら誰でも吃驚すると思うけどねぃ…?」
「Ahー、そっか」
この苦労を生んだのがこの猫だと思うと、拳一発お見舞いしてやりたくなるが相手は猫
見てるうちに愛着が沸いてくる
顎下を撫でてやると気持ち良さそうに「にゃー…」と鳴いた
「なんでぃ
可愛いじゃん」
「だろ?!一目惚れだったぜー…」
「目ぇイッてるぜぃ」
なんとなく猫に嫉妬心が生まれたが沖田はそれを抑え、いざ立ち向かわんとタンスの裏に向き直る
奥の丁度タンスど真ん中、別れ話数歩前の状態を二人に造ったお目当てのそれはキラリと光っていた
あんなところまで弾いた猫も猫で凄いが感心は出来ない
暫くして沖田がタンスの裏から身を引く
取れたのかと沖田の手を見たのだが、何も握られてはいなかった
「どうしたんだ?」
「最初に気付けばよかったけど素手じゃ無理でさぁ、何が細くて長いもんないかぃ?」
「long?…確かここに定規が」
「very long please」
「What?あったかそんなもん…Ah゛ー…っと」
暫くがちゃがちゃと部屋のそこら中を引っかき回すが、何かピンときたのかベッドの方に行くとベッドと壁の隙間から何かを取り出した
「模擬刀ならどうだ?」
ポイッと手渡されたものは長さも細さも申し分無い
だが気になる
「こんなの何に使うんでぃ」
「家に入った泥棒と鉢合わせしちまったことがあってな
親父がくれたんで護身用も兼ねてそこに置いてある」
「マジかぃおっかないねぃ…ヤるときは気を付けるか」
「Haha!!
頭強打して動かなくなったらこっちが困る」
勿論その哀れな泥棒は政宗が素手で薙ぎ倒したわけなのだが
政宗は沖田の所に戻ってくると早く取ってくれ、とでも言わんばかりに覗き込んできた
これに改めて沖田は模擬刀を裏に差し込むと、カッカッと小さな物体を取り出そうとする
10分ほど苦戦した挙げ句、
「あと少し!」
「ん……ちょっと…」
「よし!よしよし…!!」




「「取れたァアアッ!!!」」


沖田は出てきた物を摘まむと政宗に手渡した
「Thanks!!助かったぜ」
「どうってことねぇ」
政宗は適当に部屋を漁り、消毒液を取り出すと今しがた救出されたその物体、ピアスにかけて丁寧に拭き取る
そして早速今つけているピアスを外して沖田とお揃いであるピアスをつけた
「どうだよ」
「いいんじゃねぇの?」
「Ha、もう少し甘い言い方はねぇのかよ」
「俺が甘かったらキモいだろぃ」
「…確かに」
「真顔で認めんなぃ」
にゃぁー、と賛同するように猫が鳴いた
「……仕置きとして猫を俺ん家に拉致る」
「Haaaaaッ?!!それだけは許さねぇッ!」



END
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ