08/21の日記

17:56
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故の怪談話をアナタの後ろ


【こんな夕刻】

人の消えるその時間。

「んで高杉のヤローなんて言ったと思うよ?」

俺の腐れ縁のあいつは消えた。

「土方?」





それは2週間も前のこと。俺の後ろで土方は音もなく消えた。
あいつはまだ帰ってこない。捜索願いなんかで見つかるとも思えなかった。
辺りがオレンジに染まるその時間、光が全てを覆い尽くす。

『知ってる?
夕刻のまたの名を黄昏時
黄昏、たそかれ、誰ゾ彼』

――‐夕刻は人を喰うんだよ‐―

気を付けなよ、夕日色の髪をした友人が語った下手な怪談。言葉が語られたことで本当となったなら、

「ちょ……冗談、」

薄ら笑う、焦った語り手を消すくらいが最善の手だ。

「アンタはわかってないよ」

「何がだゴルァ
くだらねぇ怪談語りやがって」

「知らないようだから教えてやっただけじゃないか」

知らないことほど恐ろしいものはない、だが知ったことで失ってしまっては意味はないだろう。
さて、彼の表情が別物に見えてきたのはいつからだった?

「言ったよな
気を付けなよって」

嗚呼俺は馬鹿だった。
バカだがさらに馬鹿だった。そうだ、彼はいつまでも忠告していた。ずっと、夕刻の話よりも前から。

「『最近はドッペルゲンガーブームだねぇ
気を付けなよ』」

上がっていく彼の腕は俺を指差しピタリと止まる。

「俺様は言ったよ…
気 を 付 け な よ』」






残念ながら交換時だ




end.


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