04/06の日記

01:39
小十佐ばっか書きまくる←>佐助→小十郎/アンドロイドネタ/近未来BASARA
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※その内書くと思われの小十佐
※ネタバレになる確率大
※お蔵入りは多分無い





「アンタは何で俺を愛してくれないのさ」

首に絡んでくる腕を払うが何度も絡みついてくる。抱え上げてダイニングテーブルからわりかし離れたソファへと落としたのだが・・・。
ダイニングテーブルで読書に勤しむ小十郎の後ろに気付けばそれは立っていて、またその腕を絡め邪魔をしてくる。

「なぁ、何が気に入らないんだよ
俺様はアンタに愛される為に生まれたんだぜ?
アンタが望むんならどんなにでもなれる・・・言ってくれよ」

仕事量の増加で家事がまともに手につかないからと、今巷を騒がせるアンドロイドを雇ったのがいけなかったのだ。
昔に比べて物騒な世の中ではあるが、人間を雇えば良かった。後悔先に立たずとはこの事を謂うのだろう。
レンタルで派遣されたそれの名は"佐助"という。茜色の髪と最近の若者のような容姿とは裏腹に家事などの腕はしっかりしていた。容姿はともかくやることはインプットされているのだから当たり前と言えば当たり前だ。

その彼がいつからだろうか・・故障なのか何なのか、"愛"を訴え始めたのは

数日にわたり「好きなんだ」「俺はアンタに愛される為に生まれたんだ」と口説いてきた。
何かの不備かと思い、アンドロイドを貸し出している会社に問い合わせをしようとした所、佐助が必死になってそれを止めた。

『何か悪いなら直すから!』
『ちゃんと仕事もするから!!』
『だから・・・お願い、』

捨てないで

かなり強い力で電話を握る腕を掴まれドキリとした。共に恐れを抱いた。まさか危害を加えるなどあり得ないとは思うが、今の彼ならやり兼ねないような気がしたのだ。
格安で雇ったのがいけなかったのかも知れない。家事だけしてくれればいいと軽く見ていた。

「なぁ、俺の何が悪いんだよ」

「全部だ」

「じゃあ、今の俺から別人格のスロットに変更すれば愛してくれるの?」

「はぁ・・・てめぇのそれが俺は嫌なんだ」

最初の頃は了解や必要最低限の質問しかしてこなかった。それを思えば今はだいぶ人間らしくなっている気がする。

「俺に合わせるだ何だ、気持ち悪ぃんだよ」

アンドロイドに合わせるなとは些か横暴かも知れない。人間の指示の通りに動いてこそのコンピュータなのだから。
佐助も例外には漏れず所詮は人工物、教えられた事とインプットされた事以外は全くと言っていいほど無頓着・・・だった。

「合わせなければいいの?」

「てめぇで考えろ
あと命令だ、退け」

「嫌だ」

と、言いつつも離れるのはそう作られているから。当たり前だが人間には逆らわないように出来ている。それでも言葉だけでも逆らうのは正直危機を感じていた。
何より問い合わせを阻止されたのだ。あの時など「離せ」と言っても離さなかった。此方が完全に諦めるまでずっと握りしめていたのだ。
小十郎は一般男性以上の力はある筈なのに、佐助はそれ以上の力で押さえ込んできた。機械なのだから力の増減は無限大だ。が、体が受けられる負担は決まっているらしく、その後に腕から先の調子を悪くしていた。

「片倉さん・・」

「・・・」

「俺、前にも同じ事言われたんだ
アンドロイドのくせに気持ち悪ぃって」

その場で立ったまま、佐助は語り始める。これは始めて聞く話だ。
寧ろ"前"とはどういう事だろう?
前にも同じ不備を起こしたということか?だとすればレンタル料が安価だったのにも頷けるが。
全ては佐助本人の口から語られた。

「データ消されちまっててあまり覚えて無いんだけど・・・前の人は俺の事恐がって、捨てた」

「消されて・・・だと?」

問いに対して頷き話を続ける。

「何で消されたのかとかはロックされててわからないんだ
けど密かにとっておいたらしいバックアップではそういうデータが残ってる」

「どういう事だ
てめぇは新型だと聞いたが」

アンドロイドは最初からある程度の性能を持ってはいるが経験を積むことでさらにその性能をあげていく。それをレンタルから買取に変更することも出来、数は少ない。だから新型は安価なのだがどうにも手際がいいと思ったら、

「わからない
それ以上は俺様でもロックかかってて解除できないんだ」

そんな機能は聞いたことが無い。そもそも、経験云々からして記憶の削除はそれをリセットすることになる。貴重なデータを溝に捨てることになるのだ。
そんなことをわざわざするだろうか?

「お前は・・何なんだ?」

「婆娑羅会社製、家庭向けアンドロ」

「そうじゃなくてだな」

こういう所は少々抜けている。
本を閉じて佐助の方を振り返ると、小十郎は問うた。

「てめぇは故障品なのか?」

首を横に振る、かと思いきや、ごく普通の顔で縦に振られた。ドキッとして後ろに下がろうとするがガンっと肘がテーブルの端に当たる。

「ッ!!」

「大丈夫?!
あ、ち、違くて!!
言ってたんだよ!!!」

「言っていた・・?誰が」

「研究所の人達が」

恐らく"捨てられた"時のことなのだろう。朧げな記憶ではあるが、バックアップとやらで残されたそれは重要な部分はあまり機能していなかった。

「故障だとか、不備がどうのとか・・
微かにしか覚えてないけど、」

ぐらり、と佐助が揺れる。どうしたのか、とうとう起動すら危ういのか。じぃ、と見ていると苦笑を返してきた。

「本来消されたのを無理矢理にこじ開けてるからさ
ちょっと回路に負担が、ね」

そこまでして覚えておきたい事なのか。電話されたくない理由もわからないくせに。何がそんなに重要なのだろう。それは本人にもわからないのだが。

「アンタに危害を加える事は絶対にないから大丈夫
それにお仕事だってしっかりしますよ?」

ニカリと笑う彼は初期に比べて随分と人間らしくなった。最初はプログラムされた笑顔しか見せなかったのが、いつの間にやら随分と表情豊かになったものだ。

そこでハッとした

記憶を消さなければならないような不備。今の状況を考え、一つの答えが浮かんだ。
不備というよりは"問題"と言った方が正しいだろう。
アンドロイド普及前に問題視された事。

「なぁ、佐助」

「何?」

小首を傾げる様は人間そのもの。

「お前、・・・・・
いや、何でもない」

「え、気になるよ」

「構うな
それより今日は」

「竜田揚げ、だろ?
アンタのパターンは解析済みだよ、任せて」

・・・まぁ便利なものだ。



問題視された事柄。

それは、アンドロイドが人間としての感情を持ってしまう事

あまりにも人に近い為、感情を持ってしまう事を危惧された。確かその解決策として感情の削除をプログラムに組み込むだとか聞いた事があるが・・。
何らかの形で佐助はそれが機能していないのかも知れない。
感情が生まれればそれは人間と同じだ。その状態で会社に戻され記憶を感情を消されることは死に等しい。

"だから・・あんなに必死に止めてやがったのか"

それなら合点がいく。


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