12/23の日記
02:44
社蓄よ従順であれ[銀BASA現パロ/銀時ver.]
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IT企業は総じてブラック
そんな話をよく耳にする
そもそもこの社畜大帝国日本においてブラックがどうのとか通常過ぎて気にする事でもない風に思える
悪しき文化よ抹殺されろ
経営者が悪いだの仕事が遅いだの云々言われてはいるがこれだけは言っておきたい
"てめぇら(客)がごたごた言うから終わんねぇンだよ!!"
ッターン!
とエンターキーを力強く叩いたのは銀時
正直一生遊んで暮らしていたいニート志望であるが現実問題そうもいかない
だからといって何故ブラック上等通常運転なIT企業に勤めることになったのかは数年経った今でも不明であるし、ブラックブラック言う割には平気な顔して有給休暇の申請書を上司に叩きつけて休みをもぎ取っている
しかしだ、出勤しているからにはやることはやらねばならない
ITというとプログラムがどうのこうのと思われるだろうがそのイメージで間違いはない
暗号だの記号だのを打ち込んでインターネットに表示する
たったそれだけの、実体を持たない簡単なお仕事だ
簡単だと思うだろう?
IT関連の仕事にWebデザイナーというそれはそれは宙ぶらりんの曖昧な職種がある
彼らはその名の通り、Webサイトをデザインして作るのが仕事なわけだが、銀時の職種こそがいくらかは違えどそれに類似していた
そしてこの仕事、とんでもない大穴があった
ガシガシと動かしていたマウスを持つ手を止め、液晶画面の端の方に表示された通知へ視線を送る
"またきやがった・・・"
また、といえばその通り"また"である
これで何度目とも知れない差出人に悪態を突きつつ銀時はそのメールを開けてザッと中身を読み、死んでいた目からさらに生気を失わせて大きなため息をついた
斜め向かいから声がかかる
「銀の旦那どーしたのさ
溜め息ついてる暇あったら進めた方がいいんじゃないの?」
猿飛佐助、2年遅くここに来たプログラマーだ
何故か仇名が"旦那"で固定されているがもう数年経つので気にしていない
後頭部を禿る勢いでボリボリと掻いている銀時はもう一度ため息を吐くと佐助に視線を移した
魚が死んで3日経ったような目に佐助から思わず「うわ・・・」という声が漏れる
「進められたら進めてんだよ
後退してるの向こうだから、何回修正出せば気が済むんだよWeb屋はボランティアじゃねぇんだよコノヤロー」
「それデザイン確定させたの?」
「させねぇわけねぇだろ
一度確定したモンだ」
「じゃあ突っぱねれば?」
「できたらしてるっての」
「だよねぇ・・・まぁ頑張って
担当になったのが運の尽きさ」
「マジ変わってくんね?
俺もう伊達さんの伊の字も見たくねぇんだけど」
「絶対嫌だ」
要望、修正、軽薄な変更
実体がないからこその問題なのだが、一度決めたデザインを変更されやすいのだ
それも相手には当たり前のように追加料金の概念はない
さらに今回の場合、相手が妙にフレンドリィというか英単語を使用してくる上に曖昧なイメージが多い為難航していた
「カラフルとかやさいしい印象ってなんだよ!?」
「それっぽい絵のデータとか送ってもらえば?」
「送られてきたよ!余計わかんねぇわっ!!」
つーかそもそもいきなり雰囲気変えてくんのやめてくれる?!
ッダァン!とデスクを叩いたかと思えば銀時は頭を抱えて突っ伏してしまう
所謂限界点突破だ
「前まで写真使いまくってくれってクソ重ぇデータ寄越しやがって、次はイラストだぁ?
ふっざけんなこちとら言われた通りにやってんだよ
仏の顔だって三度目にゃ修羅と化すんだ、夜道で辻斬りでもしてぇ気分だよ」
べらべらと愚痴を吐く銀時は明らかに荒んでいる
これは来るところまで来ているなと苦笑いをしながらも、佐助は自分の席から立ち上がり銀時の所まで回ってくるとPCを操作し始めた
出したのはその問題の変更イメージである
「・・・・これ、サイト?」
「本」
「書籍とホームページって違くない?」
「何もかも違ぇよ
奴さんまず本とサイトの違いから教えてやんなきゃならねぇらしい」
「俺様本当こっちの担当じゃなくてよかった」
「ふざけんなそこの窓から叩き落とすぞ」
ちなみにオフィスは4階である
デスクにへばったままの殺気はどうにも弱く、怒りを通り越して呆れているようだ
「もう無理、俺定時まで寝るからあとヨロシクなさっちゃん」
「はっ、そっちこそふざけないでよ
こっちだって今月中にシステム構築しなきゃなんないのに」
「こっちだって年内だっつーの」
「絶対無理でしょ」
「そう思うけど俺だって終わらせてぇんだよ
いい加減伊達さんのあのウゼェ面見るのも嫌だしよ」
「あんた結構お客に対して失礼だよね」
「まだ金貰ってねぇし客じゃねぇだろ」
スッパリ言い切り顔を腕へと埋める銀時に佐助は首を横に振ると、自分の席へ作業の続きに戻った
"本当IT企業ってロクなもんじゃねぇ・・・"
ふて寝を決め込む銀時は数分後、上司の片倉に鉄拳を見舞われることとなる
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