ss
□sweet baby
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湿った空気、アスファルトからの熱気、蜃気楼。
夏ももう終わろうとしているはずなのに、天気は今日も僕に味方しなかったらしい。
僕が出掛けるときは大抵大雨が降るか、カンカン照りのどちらかだ。
まったく本当にツイていない。
額に浮かんだ水の粒をハンカチで拭きながら、雑踏のなか僕はただひとりを探している。
遠目で見ても分る背丈。
少し釣り目がちな目。
「おう、伊作」
その人、食満留三郎。僕のコイビト、……だったりする。
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