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□篝火
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「菖蒲様、今日もまたそんなに乱して全く………」
乱す、とは はて、どれのことか。
着物か、仕草か、声か、
「次の方が来られるので、早く湯浴みをして支度を…」
「分かってるよ、藤内」
何にせよ、早く湯を浴びてこの臭いをとらなければ。
土の匂いは好きだが、
精の匂いは嫌いだ。
高嶺になればおのずと関わる人間は限定される。
遊郭の店主、禿の藤内、仕立屋の若者、簪売りの娘、家具屋の爺
「喜八郎くん、またそんなにぐちゃくちゃにしちゃって……」
髪結いの、この人。
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