TexT;ぬらり(その他)

□刻印
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風呂場で体を洗っていて、竜二は、あ、と思った。


翌日、廊下で会うなり、何か言いあぐねる様子の竜二を不審に思ったのは、雅次だった。
「どうした?」
何か困った事でも、と様々な可能性を脳裏で広げながら、声をかけてみる。
「……今夜、部屋に行っていいか」
「勿論、どうぞ」
返答は予想外だったが、断る理由はなかった。

言葉通り、夜になって竜二は訪ねてきた。
「それで?」
先ずは茶を勧め、雑談を交わしてから本題に入る。
また、逡巡するような竜二の目。

「脱げ、雅次」
「は?」
言葉は、またしても予想外だった。


「…いやに積極的だな、竜二」
「ヤるとは言ってねえよ、脱げ」
腕を組んだまま、横暴に告げる意図が掴めない。
「それとも、脱がせて欲しいクチか?」
ちろりと流し目。
意図が掴めない。

溜め息をついて、雅次はシャツの釦に手をかけた。露わになる上半身。
近づき、筋肉のついた胸板に指を滑らせ、竜二は眉を寄せる。
「やっぱりな」
「…何のことだ、説明してくれ」
シャツを羽織り直して、聞いてみる。
「お前が、女好きだってことだ」
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