TexT;ぬらり(その他)

□刻印
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「…キスマークだよ」
散々問い掛けて、言い渋る口から聞き出した。
「雅次、この前、俺に付けただろう」
「ああ…そんなことも、あったな」
「消えねえんだよ」
ちろりと睨む、目線は抗議か、誘う色か。

「俺が付けたのは、もう消えてる。…つまり、テメエが女馴れしてるってことだ、雅次」
忌ま忌ましげに舌打ちせんばかりの表情で告げられ、雅次は笑みを抑えられなかった。
「ふうん?」
軽い返答に、何か言いかけた竜二が口を噤む。
シャツに袖を通しただけの雅次が、笑いながら覗き込んだからだ。

「消えないキスマークが気になって、私が恋しくなって、顔も知らない女に嫉妬した、と?」
「ば…っか、何を!」
一瞬で顔を赤くした竜二が、手を振り上げる。
宙でその手を掴んだ雅次は、手は放さず、顔を近づけた。
唇が触れ合う距離。

「莫迦はお前だ、竜二」
軽く触れた体温。
「可愛い嫉妬だよ、居もしない女に妬けたのか?」
それは嬉しいな、と囁いた舌は強引に侵入し、竜二の口内を蹂躙した。


「そうだ、私をいつも思い出すように、印をつけておこう」
「は、…っんん」
「こうして、強く吸うんだ、竜二もやってみるか?」
「ん…こう、か?」
「…そう、上手だ」

いつか繰り返した会話。
雅次の印がついた体を眺めて、竜二は悪い気はしなかった。





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