TexT;ぬらり(その他)

□狙いうち
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驚いたのか固まっている唇を舌先で舐めてやれば、わずか綻ぶ、そこに竜二は躊躇なく舌を差し込んだ。

歯列を、歯茎をなぞり、上顎の裏をたどる頃には、もうリクオの舌が絡みついていた。
ぎこちなくも、必死で竜二の舌を追いかけようとする。
わざと逃げたり、不意に絡めてみたり、竜二もいつしか息が上がっていた。

唇を離したのも、やはり竜二だった。
名残り惜しそうに尖ったリクオの唇をひと舐めして、耳許で囁いてやる。
「…勃ったか?」

瞬間、顔を真っ赤に染めた中学生。
その表情に笑いを誘われ、竜二はくつくつと肩を揺らす。
「じゃあな」
軽く手を振り、何事もなかったように歩み去る影を、リクオは茫然と見送った。


懐に隠れていた小妖怪たちが、きいきいと騒いでいる。
「若!大丈夫ですか!」
「何かされませんでしたか!」
「…いや、されたんだけど…大丈、夫」
「しかし、あの陰陽師はけしからん!」
「けしからんし、エロい!」
「……うん、それは前から知ってたよ…」

今夜は眠れそうにない。
まだ明るい空を見上げ、リクオは一つため息をついた。





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