TexT;ぬらり(その他)
□それぞれの風景
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秀元と竜二
「竜二、誕生日なんやて?」
秀元がふと思いついたように言った。
「そうらしいな」
「なんや、自分のことやのに」
笑った式神は、無遠慮に竜二を眺める。
「ええと、竜二は幾つや?…三十路はいったか?」
「滅」
物騒な言葉と同時に読みかけの本が飛んできて、秀元はひょいと避けた。
「おお怖!恐ろしい子やわあ、ボーリョク反対やでー」
「言葉の暴力ってのもあんだろ、俺はまだ十代だ」
「ええっ?!ほんまか!」
さらにじろじろと上から下まで、無遠慮に眺められて竜二は眉間にしわを増やした。
「…そんなに驚くか」
「だって十代いうたら、ぴちぴちで初々しい、まだヒヨッコなお年頃やで?ゆらちゃんならともかく、竜二がなあ…」
「るっせえよ決まってんだよ」
「ああ、でも竜二の肌の張りとかみずみずしさは十代やなあ」
「目の付け所がオヤジなんだよエロジジイ」
「僕からすれば、十代も三十代も大して変わらへんしな!」
「まとめたつもりか」
「どっちでも竜二は竜二や、さて、十代の肌を堪能させてやー」
「脱がすな!!」
「だってココとか、アソコとか、ほんまに十代の未熟さがあるか確かめてみんとな?」
「ばっ…かやろ、今更、だろ…がっ」
「今更だから確認や」
こうなっては、竜二に勝ち目はないに等しかった。