TexT;ぬらり(その他)

□それぞれの風景
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秋房と雅次と竜二


秋房は、10月24日、仕事で戻れないと悲しげに言った。
「とても行きたいんだが、すまない、本家はお前だけで行ってくれ、雅次」
「……(本気で落ち込んでるな)ああ、任せろ」

しかし予想より早く仕事は片付き、その上行列のできる有名ケーキ店が近くにあるのを発見した秋房は、まさに天にも昇る心地だったという。

(これは…何かの思し召しか…!いや私の普段の努力が報われたのだ!!)
勿論並んでケーキを購入、足取り軽く秋房は本家へ向かった。

(雅次はカットケーキしか買わないからな、そこへ私がこのホールケーキを持って登場!竜二感動!素晴らしい!!)

ガラッ
「竜二、誕生日おめで」
「あ、秋房、ケーキありがとな!でっかいの!」
キラキラと輝く笑顔(※秋房ビジョン)でケーキを食べていた竜二が、にこやかに爆弾を投げた。

竜二の前には、でっかいホールケーキ。
ご丁寧にプレートは2枚。「おたんじょうびおめでとう」「あきふさとまさつぐより」

横で雅次が、秋房の手荷物を見ていささか青ざめていた。
(すまん秋房!気遣いが裏目に出た!)

仕事と聞いたが、よく来れたな?等、竜二の労りの言葉は、秋房の耳にはほとんど届かなかった。
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