TexT;ぬらり(その他)

□ネテモサメテモ
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夜着姿で横たわる竜二に、魔魅流がそっと覆いかぶさる。
静かな口づけ。

「竜二、かわいい…」
囁きに、竜二の腕が魔魅流の背に回される。もっと、とねだる舌を離したのは、魔魅流のほうだった。
「こっちも…見せて」
しろい指が夜着の裾を割り、這い上がる感覚。
かすかに息をつめた竜二に微笑み、手のひらで愛撫する。
「…ん…魔魅流…」
「……ああ、これは魔魅流なんやね」

「…なんだと?!」
跳ね起きるつもりが男が邪魔だ。
払いのけようとすると、そいつの顔が変わった。
魔魅流ではない、見知った顔、これは…
「秀元?!」
「そうや、正解」
ご先祖様やで、とのたまう男。

「竜二と遊ぼう思たのに、違う男に間違えられたらかなわんなあ」
「おま…っ、…ゆらは?」
とりあえず最低限の確認をする。
「ゆらちゃんは部屋で寝てるで」
「お前式神だろ、離れるのはまずいんじゃないか?」
ご先祖様にお前はないんちゃう?と気にする素振りもなく口にする。
「これは、夢の中なんやから」

「ココは君らのいう、精神の世界なんや。思いひとつで何とでもなる」
だから自由に動けるし、竜二も然りだと。
「はじめは確かに魔魅流やったやろ? それは竜二が、そう認識してたからや」
「…それで、何がしたい」
仏頂面の竜二に、にっこり笑う。
「竜二があんまりかわいいよってん。ちょっと遊んでえな」
「断る」
言下に否定されても、秀元の笑顔は崩れない。
「言うたやろ、思いひとつで何とでもなる、て」
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