TexT;ぬらり(その他)

□猫は虎の心を知らず
1ページ/4ページ

某日、竜二は雅次の部屋を訪れた。
結界術で解らないところがあるという、名目。
本当は、雅次のゲームが目的。

年も近く、幼少の頃から交流があるため、気の置けない友人のような存在。
従兄でもあり、気軽に行き来できる相手だった。
竜二にとっては。


気になっていた新作のゲーム(やはり雅次は持っていた)を試して、気づくと日が暮れていた。
勧められるまま夕食を馳走になり、用もなかったので泊まることにした。
親戚の家で勝手はわかるし、深夜までゲームができる、そんな目論見もあった。

一応家に連絡を入れ、風呂を借りるときに着替えがないのを思い出す。
明日は、今日着ていたもので済ますとしても、そのまま寝るのはごめんだ。
雅次のパジャマを借りる。
袖やズボンの長さが余るのが癪に障ったが、折り返した。

そして、雅次の部屋でゲーム三昧。


竜二は平素、あまりゲームをしない。
自宅では読みたい本が山積みだし、雑事(妖怪退治や諸々)に追われて、まとまった時間を取るのは難しい。
けれど興味がない訳ではなく、時々したくなると、こうやって従兄の部屋へ行くのが常だった。


「雅次、これ、なかなか面白いな」
「だろう?きっと竜二は気に入ると思ったんだ」
フローリングに敷かれた絨毯の上、ベッドの横に積んだ布団。
ベッドの側面に背を預け、床に並んで座り、テレビ画面を見ている。
二人の手にはコントローラー。

「…うわ!」
操作を誤った瞬間、竜二の機体が爆発してゲームオーバー。
「くそー…」
床に転がって、天井を見るついでに伸びをする。
「私の勝ちだな」
雅次が笑って、竜二は肩のあたりを蹴飛ばした。
「いってえ!」
「笑うな」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ