TexT;ぬらり(まみ竜)

□eight days
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「ねえ竜二、すき、だいすき」
「あーはいはい」
「聞いてる、竜二」
「毎日うぜえ」
告白したのに、と魔魅流はすこし悲しくなった。

「だいたいテメエ、毎日同じこと言ってるじゃねえか」
「毎日すきって思うんだもん」
朝起きて、顔を見て、竜二だ、すき、と思うし、夜寝る時だって、竜二かわいい、おやすみ、と念じている。
「竜二のこと、毎日考えてる」
正直に言うと、竜二は心底うんざりした顔になった。

「…飽きないか?」
「全然」
同じ家に住んでて、毎日顔を合わせて、毎日欝陶しくくっついてくる奴の気が知れない。
竜二は本気でそう思うが、魔魅流は真面目な顔をしている。

「あのね竜二、毎日っていうけど、もっとすきなんだよ」
真面目な顔で言い出した言葉は、ろくなものじゃなかった。
「はあ?」
出たな、論理の飛躍、と竜二は聞き流しながら思う。
「8日」
「なに?」

「一週間に8日、竜二がすき」

「ビートルズかよ」
「何それ」
「昔の歌にあんだよ、一週間に8日思ってるってのが」
「じゃあそれで」
なんだお前、イイこと言ったつもりじゃなかったのかよ、と竜二は笑う。
すこし憮然とした、魔魅流の頬の辺りをつついて。

「やっぱり竜二、すき」
抱き着くと、ホントうぜえな、お前は、と声がした。
けれどその声はすこし甘くて、魔魅流はまた、だいすき、と言いながら抱きしめた。





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