TexT;ぬらり(まみ竜)

□ほんとうのよる
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「竜二…キスして」
囁くような魔魅流の声。
軽く触れるだけの口づけを落とせば、
「…っ…ん」
後頭部と背を抱きとめられ、苦しいと口を開けば、舌が侵入してくる。

そのまま口中を弄られると、妙な気分になってくる。
「や…めろよっ」
何とか振り切り、睨む目尻がうっすら染まっていた。

魔魅流は、その色に煽られる。


膝をなぞって、足の付け根へ手を運ぶと、肩が揺れた。
小さな抵抗を介さず、情欲を撫で上げると、びくと体が揺れる。
続けていると、やがて力が抜け、屹立が熱をもった。
「…はっ、ぅ…」
籠もる息が、やけに鮮明で。
そのまま、竜二は魔魅流の手に精を吐きだした。

…魔魅流の顔が、直視できない。
居たたまれなさを感じて、竜二は俯いたまま言った。お前のも、手でしてやろうか。
「いらない、けど」
竜二のはだかが見たい。
予想しなかった答えに、思わず振り仰ぐ。
魔魅流は打ち消さなかった。

明かりを落とした部屋に、衣擦れの音が響く。
帯を解き、肩から着物を滑らせ、下着も落とす竜二を、魔魅流は黙って見ていた。

「…これで、いいのか」
立ち尽くす竜二に、魔魅流は微笑む。
しあわせそうに。


「んっ…ふ、ぁ」
二人、裸になってキスを交わせば、すぐに唾液を垂らすほどのものに変わる。
腹に互いの熱が当たれば、それはわざと擦りつける動きになった。
竜二の手が、二人の熱をまとめて握る。
一緒にして扱かれれば、魔魅流の熱はあっけなく弾けた。

「…竜二、ずるい」
「仕方ねぇよ、お前イってなかっただろ」
に、と笑った口端にまた舌を伸ばす。
「…っんん…」
与えられたキスに夢中になっていると、指が後孔をそろそろと撫でた。
「っなに…すんだっ」
あわてて振りほどこうにも、がっちりと抱きとめられて動けない。

侵入を幾度か試みながら、乾いた皮膚にひっかかり拒まれる。
小首をかしげた魔魅流が、思い出したように放った精を指ですくった。
十分まとわりつかせると、つぷりと先が潜る。
「…っ!」
竜二の背が揺れた。
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