TexT;ぬらり(まみ竜)

□甘くて甘い蜜
1ページ/4ページ

するりと、竜二の肩から着物が落ちる。
現れた鎖骨を舌でなぞると、くすぐったがった手が、魔魅流の髪を引っぱった。

舌を出したまま見上げると、竜二の赤い唇が薄く開いて、だから伸びあがってキスをする。
竜二の舌は、いつも気持ちいい、思いながら飽きもせず舐める。

魔魅流が身動きした拍子に、服の内から音がして、無造作に入れた小箱を思い出す。
片手に乗るほど小さなそれを取り出して、そばに置いた。
そのまま行為を続行しようとする魔魅流に、竜二は一応聞いてみる。
「…なんだ、それ」
「しらない」

「じゃあ、誰にもらった」
「しらない人。そこの廊下で」
お前には、9割知らない人だろうが。
竜二は嘆息して、勝手に開けた。魔魅流は興味がないのか、黙っている。

中にはチョコレート。
甘い匂いが漂い、竜二は眉をしかめた。
と、伸ばされた魔魅流の指が、ひとつ摘んで口に運ぶ。
むぐむぐと動く頬が、
「…あまい」
呟いて、顔を寄せ。
口移しに、チョコは竜二の口中に押し込まれた。

「…っんん」
返そうとしても、また押しつけられ、結局ふたりの舌の間で溶けてしまった。
「甘いだろ、止めろよ」
わずかに上がった息で文句を言うと、魔魅流は残念そうに、溶けちゃった、と言った。

竜二が、だいぶ溶けかかってんじゃねえか、と指摘すると、魔魅流はじっとチョコレートを見つめる。
上等そうな粒は、体温で温められて軟らかかった。
くれた相手でも思い出しているのかと、しばし面白くない。
動かない魔魅流を放っておいて、竜二は仰向けに寝転んだ。

腕を頭の後ろで組んで、天井を見上げていると、視界に栗色の頭が入った。
胸に冷たい物が触れる。
「…何やってんだ」
乳首に、魔魅流がチョコレートを押しつけていた。

くりくりと指がチョコを回すたび、少しずつ溶けて。
一緒にこねられる乳首が、徐々に尖ってくるのが判った。
「…んっ、」
声が漏れると、魔魅流はぺろりと胸を舐めて、あまい、と言う。
「ったり前だ、ろ…」
半分ほど溶けたところで、もう一方の乳首にも塗られた。
溶けたチョコが粘ついて、変な感触だ。

味がするのが楽しいのか、魔魅流はいつまでも乳首を舐めている。
「…も、止めろって…魔魅流」
吐息と共に零すと、魔魅流の手が、竜二の着物の裾を割り。
ためらいなく掴まれた欲情が、外気に晒された。
「…っ!」
そこにも押しつけられる、冷たいチョコレート。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ