TexT;ぬらり(まみ竜)

□身喰いの月
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「お仕置きだ、手ェ出すんじゃねえぞ」
命を下せば、魔魅流は何か言いたげな唇を引き結ぶ。
それくらいの躾はできている。
竜二は顔から垂れる白濁をぞんざいに拭い、残りは流れるに任せた。

魔魅流の視線が、竜二の顔から離れない。
一つ笑みを見せ、口の端に落ちた白濁を舐めた。
独特の苦味がするが、魔魅流を煽るほうが楽しかった。
白い喉が、かすかに上下する。


近づいて、結ばれた唇を舐める。
あっという間、背中に回された手で抱きしめられ、貪るようなキスになった。
「んんぅ…っ、待て…って!」
息を継いだ隙に身をもぎはなし、ついでに膝で蹴りを入れる。
倒れた魔魅流の肩を足で踏みつけた。
「てめえ、手を出すなって言ったよな?」
酷薄な瞳で見下ろすと、しゅん、と縮こまるのがわかる。
「できるか、できないのか?」
「………できる」
「…いい子だ」


半身を起こした魔魅流の足の上に跨り、竜二は帯を解く。
視線が絡みつくのを感じながら、後孔へ指を這わせた。
魔魅流に舐めさせた指は、唾液を纏って体内へ潜る。
「…っう、あ…」

かすかに羞恥が警鐘を鳴らすが、好奇心が勝った。
自分の痴態で、魔魅流が狂うのを見てみたかった。
だから孔をほぐすのを見せつけ、煽ってやった。
「あ、んっ…ふ、」

体内の欲を探し、伏し目がちになっていた竜二は不意に、ぎり、という音を聞いた。
見ると魔魅流が、餓えた目をしている。
言いつけどおり手は出さないが、歯ぎしりし、牙を剥きそうになるのをこらえている、そんな表情。
(…ここらが潮時か)


「いいぜ、魔魅流…来いよ」
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