TexT;ぬらり(まみ竜)

□ノゾミカナエタマエ
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「竜二」
魔魅流は竜二の部屋にいた。
空いた時間、竜二は溜まっている読書をすると言い、魔魅流はそれに付いてきた。
早速没頭する竜二の横、読みたくもない本をぱらぱらとめくり、魔魅流は声を出す。
「竜二」

「…なんだよ、うるせえな」
不機嫌そうに唸る竜二を気にも留めず(いつものことだ)、魔魅流は返事があったことに安心する。
「ねえ竜二、望み叶え給えって何」
ああ?と顔を上げた竜二に、手に持った本を掲げてみせた。
「これに書いてあった」

「お前、そんなことも知らねえのか」
幾分呆れ気味に言われても、魔魅流は意に介さない。
「何」
重ねて問うと、ああもうめんどくせえな、と聞こえた。
意に介さない。

「それはアレだ、神様お願いを聞いてくださいってことだ」
投げ遣りに返されても、魔魅流は真剣に考え込む。
「望み叶え給えって言ったら、神様は聞いてくれるの?何でも?」
「…聞いてくれるかどうかは、神様が決めんだろ」


魔魅流はそれきり黙って、考え込んだ。
竜二はまた本に没頭したが、しばらくして目を上げても魔魅流がそのままの姿勢でいるのを見て、声をかけた。

「…魔魅流、なに考えてる?」
夢から覚めたように魔魅流の目が瞬く。
「神様にお願い」

「お前、何をお願いすんだよ」
「妖怪を滅する」
「…あー…」

「竜二は、何をお願いする?」
「羽衣狐を封印する」
「……他は?」
魔魅流が僅か、口をとがらせた。
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