短編とか。

□つめたい
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「……さむい。寒いよ連勝ー」

「俺だって寒い」

「うぅ……」


二人きりの帰路には、雪が紙吹雪のように舞っていた。紙吹雪にしては強い雪。
…なんて言ったら綺麗だと思うだろうが、それはすなわち風が強いと言うこと。あれ、それじゃあ普通に吹雪か?まぁどうでもいい。
とにかく言いたいことは、寒い。それだけだ。寒すぎて頬も指も、感覚を失った気がする。
隣にいる名前を見れば、吐いた息で両手をこすっていた。言葉にすれば怒られるだろうが、小動物みたいで可愛い。


「ねぇ連勝。帰ったらココアでも淹れたげる。とびきり甘くて、熱いやつ」

「それはいいかもな」

「でしょ。体の芯まであったまるだろうから」


名前がそっと、俺の手を掴んだ。掴むというより包んだといったほうが正しいかもしれない。
かじかんだ手に熱が染み込む。あったかい。
思ったことが口からこぼれる。


「お前の手、あったかいのな」

「あっためたの」


連勝も、寒そうだったから。
名前はふにゃりと笑った。
先程温めたであろう手に力が込められる。それよりも少し強く握り返せば、笑顔がこぼれた。
人肌の温度が愛おしい。
さっきまでとてつもなく寒くて早く帰りたかったのに、暫くこのままでいたいなぁと思った。


「ほんと、あったかい




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