その他

□to steady
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だって、鬼道くん、言ってたじゃん。
涙声で俯きながら。


「嘘もつけなくなったら、生きてゆけなくなるぞ」


俺だって愛されいたいって思ってた。だから、
どんな痛みだって耐えて見せた

でも、ごめん
別に鬼道くんが嫌いになった訳じゃなくて。
お前から与えられる温もりを、言葉を、愛をもらうのは俺には贅沢だから

悲しみって、俺ひとりだけだったら背負って生きていけんのに、優しさって残酷だね。
俺の心まで乱れてる。


ずっとお前と一緒にいたいけど、嫌なところが増えていく日々。
そうやって言うと、鬼道くんは必ず


「似たもの同士だからな」


と一言呟くだけ。ま、分かるような気もするけど。


「愛し合えるひとが出来たんだよ」


俺が言える。
そんな日がくれば、俺も幸せなのかな?

幸せって、魔法みたいに輝いてくれないけど、憎しみって些細なすれ違いだから、泣かないんだよ。


「たかが運命なんて、変えてゆけるんだ」


って口から出ても無理ないか。
そのまんま、だんまり続きだった。そして、鬼道くんが真剣な目でこっちを見てくる。

見んな、そんな目で俺を見るなよ、

そう思ったときには、部屋を飛び出していた。
ムキになって、誰もいないグラウンドのベンチでアイツが迎えに来てくれるのを待っていた。

それから、ウトウトしてベンチで不貞寝してたら、毛布がかけてあった。
鬼道くんが来るはずも無いので、多分マネージャーか、もしくは通りすがりなのか。

でも俺に優しく、しかも毛布をかけてくれる輩は体調管理怠るな、と再三言ってくるマネージャー以外いないはずなので、その優しさに感謝しながら、掛けられていた毛布を宿舎の長イスに置いておいた。

そのまま、鬼道くんの部屋のドアを軽く睨みつけながら自室に戻った。

ベッドに潜りながら思う。
明日は、ちゃんと謝ろうと。
素直に謝るなど、俺のキャラじゃないが、鬼道くんを傷つけてしまったことは事実。

本当にごめんね。
心の中で呟いて眠りについた。



悲しみって、寄り添えばどことなく暖かいけど、優しさって傍にあれば、ふと甘えてしまう。



次の日、朝早くに鬼道くんの部屋に押しかけた。思いっきり頭を下げて謝ると、鬼道くんは一瞬だけ目を見開き、ぱちくりさせる。

俺が顔を上げた時には、鬼道くんは笑って、俺の頭をくしゃりと撫でた。







なぁ幸せだぜ、多分、俺

鬼道くんがいたんだから。









to steady
(鬼道、くん?何泣いてんの?)(五月蝿い)(ねぇ、もしかして昨日の毛布…)(なんの話だか。)



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