その他

□君のにおい
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とんとん

鬼道くんの部屋のドアを叩く。何故かというと、前に本を借りていたからだ。
中から返事はない。あれ、留守?


「鬼道くーん…っと、いないな」


そこには案の定誰もいなく、備えつけのテーブルやらベッドやらがあるだけだった。


「たく、どこ行ってんだか―…あ」


ベッドの上に、無造作に置かれた彼愛用のマント。
それが、俺の目の前にある。


「マントも投げ出してどこ行ってんの、鬼道君。」


ひょいとつまみ、それをベッドの端に寄せると俺はベッドに腰を下ろした。
たぶん、まだ帰ってこない。たぶん

自分で端に寄せたマントをちらりと見る。
…ちょっとなら、いいよな?


「えいっ」


ベッドに寝そべってマントを抱きしめる。
なんか、鬼道君の匂いにつつまれてるみたいで、抱きしめられてる感じがして安心できるっつーかなんつーか…


「これ鬼道くんに見られたらヤバいよなぁ…佐久間に見られてもヤバいな…」


鬼道君に見られたら、多分その場で押し倒され俗にいう「アッ―」状態になるか、本気で引かれるか。
佐久間に見られたら、「孤高の反逆児(笑)」と言われるか、鼻で笑われるか。(佐久間に関してはどっちもムカつく)

それはなんとしても回避したいが、まだ鬼道君の匂いに包まれていたい感じもして複雑な気持ちになる。って、俺は変態か

…よし、もうちょいこのままでいよう




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「それで―…あぁ、もう部屋か
じゃぁな円堂、豪炎寺。また明日」

「おう!じゃぁな鬼道。明日も特訓頑張ろうな!」

「あぁ」


風呂から上がり、俺は部屋に戻ってくる。
すると、点けた覚えもない明かりが点いていた。


「誰か、来ていたのk……」


ベッドの上には、俺のマントを抱いて寝ている不動の姿があった。
俺が来たことに気づいていないようで、物凄く穏やかな寝顔だった。


「お前は天使か…」

「んん…あ?…き、鬼道くん?なんでここに―…」

「ここは俺の部屋だ。それに、なんで俺のマントを…」

「へ?あ、や、これはその…」

「そんなに俺の愛に飢えていたのか…!!」

「はァ!?どうしてそうなった…」

「よし今日は存分に愛し合おう!」

「えっちょっ違っ待っててばアッ―」




君のにおいに包まれて
(きどーくんのバカ)
(なんだと!?)
(普通に抱きしめてくれたらよかったのに)







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