庭球

□さぁ、夢を見ましょう
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俺、立海大附属3年B組出席番号16番丸井ブン太はある一人の詐欺師に恋をしました。


同じクラスで、同じテニス部で、同じ…男。



正直同じ男かよ!と自分にツッコミたくなったけれど、アイツ――――仁王雅治――――は、色白でまつ毛長くて、綺麗な顔してて、色っぽくて。





「ほんと俺、なにやってんだか。」



「今度は何をしでかしたんじゃ、丸井?」




屋上お給水タンクに寄りかかっていたら俺はお馴染みの色んな方便が混じった声がした。あ、仁王だ。





「別に。なんもないぜ。」



「それにしても、暗い顔しとったぜよ。もしかして、恋でもしたんか?」



「あながち間違ってない、けど。」



「お、当たりだった。誰じゃ?」





仁王の事だ。ぜってぇ脅し文句に使うだろう。詐欺師だから。

そーいや、仁王とあんま話したこと無い。こんな話したことない。





「Cクラスの田中は幸村の事好いてるし、Fの山田は計算高いぜよ。Aの宮元は構ってちゃんやし。」



「お前の付き合った女子だろ、それ。俺のタイプは―…」



「…タイプは?」





一呼吸付いて、息を吸い込んで、はっきりと仁王に言う。





「俺より背が高くて、いっつも何考えてるかわかんなくて、あんま喋んなくて、銀髪で…謎な奴。」



「それって、氷帝の鳳?」



「ちげーよ!お前に決まってんだろぃ!」



「あ、引っかかった。」





ケラケラと笑う仁王。へ?…もしかして。こいつ…カマかけた?ってことは、俺がこいつ好きなのもバレた?いやまぁ、言うつもりだったけど。






「俺も好きぜよ、柳生より。」



「柳生と比べんのかよぃ!?」



「丸井は面白いのぅ。…でも、俺が丸井を好いとぉのは本当のことじゃ。好きぜよ、丸井。」





うわ、コイツまつ毛長っ…と思っていたら、目の前には仁王の綺麗な顔で、キラキラ輝いてる銀髪からはシャンプーのいい匂いがしていて。


唇には、柔らかい感触。あ、俺、キスされてる。なんて気づいた時にはあの柔らかい感触は無くなっていた。





「これで、丸井は俺のイリュージョンにかかりましたぁー」





棒読み気味に喋る仁王。目を開けると仁王は給水タンクの上に登っていた。これはいい夢?それとも、悪夢?


だけど、あのキスの感触が夢じゃないと物語っていた。






さぁ、夢を見ましょう
(さて丸井。海にでも連れてってくれんかのぅ)
(え、いや、なんで!?)
(彼氏だからに決まっとるぜよ。)

 

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