Novel
□蝶のはばたき
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黒物語
カサカサッ
暗い路地裏に潜む闇に染まりし者。そう、私のことだ。
黒い服に黒いマント、足音こそないが時々マントがなびく音が聞こえるだけ。
私の存在など気づく奴は少ないだろう。
路地を行ったり来たり、曲がったり上ったり、飛んだり落ちたり、パルクール(※)なんてかなう奴はいるだろうか?
今日も私は路地を走る。と、一筋の光が見えた。たまには光を見るのもよい、そう思って光に顔を出した。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」
不意に女性の悲鳴が聞こえる。近い所だ。こんなに明るい時に女性を襲うとはけしからん。助けに行こうと声の方向へと走り出す。
「来ないで!!!いや!!」
速く行かなければ。女性は悲痛な声をあげている。更に声の方へと近づいていった。
「追い詰めたぜ」
不敵な笑いの込めた別の声が聞こえる。まずい、この辺のはずだが辺りには何もない。
とにかく動こうとした時、黒い影が後ろから襲い掛かり、脳天に一発くらった。私は仰向けに倒れ、目の前が暗くなった。
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「大丈夫だった?」
「うんビックリしたよ。まさか出るとは…」
闇に染まりし者が倒れてから数分後、女性は安心した声で会話している。
「害は無かったけど精神的に害されたね」
「うん…気をつけよ…」
話かけていたもう一人が辺りを見回し、ある隙間を見つけた。そこへスプレー缶を突き付けて噴射。
「また侵入者が現れたら我が属するGHQにお任せください」
ちゃかす様に言うとスプレーを片付け始め、ゴミ袋に手をかけた。
GHQ…それは「ゴキブリ本当に苦しめ」の集まり。
Fin.
語句解説
※パルクール
…運動の一つ。目の前に壁があったり道路混雑の道があっても、それをものとせず困難を乗り越えるアクションをする。簡単にいえばスパイダーマンの動き。
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サークルには提出してないが小説コミュニティに提出したもの。
黒よりむしろ茶色だな!