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□愛してんで
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二人きり、

「光子郎はん」

いつも通りパソコンをいじってはる
わてのパートナー。

ほんま熱心でんなぁ、えらい楽しそうや


「何調べてますん?」

「・・・。」


無言の光子郎はん。
集中してまうと周りが見えんようになるのは
光子郎はんの癖やから仕方ないんやけど…



虫だけに無視でっか…。
まぁ、ええですわ。


こうやって光子郎はんの楽しそうな顔を
ずっと見れんのが、わての楽しみやさかい。


それはそうと、腹減りましたなぁ。
昼も過ぎたのに飯食うてまへんがな。

この調子やと光子郎はんも
食うてないやろし…


「光子郎はん、わてちょっと行ってきますわ」



返事は無し。
…寂しいですわ

とにかく食べ物探しに行きまひょか。


背中の羽を広げて、羽ばたいて
光子郎はんでも食べれそうな
木の実やら何やら探しまして。



まぁ色々見つけれまして
10分程で帰ってきたんですわ。

そしたら、光子郎はん




「テントモン!」

えらい慌てた様子でして。



「ど、どないしたんでっか?!」

何やあったんか知りまへんが
わても何故か慌てまして。


そしたら光子郎はん、何や寂しいというか
悲しいというか…
あんまり宜しくない顔になりまして


「どこに行ってたんですか?」

って。



「食べ物を探しに行ってたんや。
光子郎はんもメシまだでっしゃろ?」


夢中になって、わての話
聞いてへんかったの丸わかりですわ(笑)

「一応、光子郎はんに声掛けたんやけど
やっぱり聞いてまへんでしたか」


「ごめんよ…、また夢中になって
君の話を全く聞いてなかった。
テントモンが居なくなって僕、
一人ぼっちになってしまったかと思って…」


見た目もそうやけど、可愛らしいお人や。



「大丈夫やて、
光子郎はんは寂しがりでんなぁ」

わてがこう言うたら
光子郎はんの太い眉毛が
八の字になってしもうて



「こんな僕…、嫌いですか?」

なんて言うもんやから
一瞬ドキッとして胸が熱くなりましたわ


「前も言うたように、
わては光子郎はん好きでっせ。
飯、食いましょ」

「…ありがとう」

パソコンを閉じて、わてが探してきた
食べ物を一緒に食べたんですわ。


遅い昼食でんなぁ…。


けど、さっきの光子郎はんの一言で
飯が喉通らんようになってしもうた。



「…テントモン、食べないんですか?」


「え?あ、いやぁ…」




…無菌すぎる光子郎はんに
こんな事よう言わんわ。






「愛してんで」

なんて。

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