short

□If..
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「光子郎はん!」

「テントモン!!」


デジタルワールドで僕たちは今、
敵と戦っていた。


相手は完全体。
このままではやられてしまう。



「テントモン進化ー!カブテリモン!!
カブテリモン、超進化ー!
アトラーカブテリモン!!」


僕の紋章が輝き、テントモンは
アトラーカブテリモンに超進化した。


これなら勝算がある。



「ホーンバスター!!」

必殺技で敵に向かうパートナー。


敵も攻撃を仕掛けてきたが
僕たちの方が勝っていて、なんとか倒せた


が、そのぶつかり合ったエネルギーで
爆風が起き、僕はそれに
吹き飛ばされてしまった。

「うわぁああ!!」

「光子郎はん!!」

大量のエネルギーを使い、モチモンへと
退化してしまったパートナーも
僕と違う方向へと吹き飛ばされる。




太一さん達と逸れてしまって
突然現れた敵をやっと倒したのに…、

パートナーとも離れ離れに
なってしまうなんて…。


体が宙を回転しながら、飛ばされて
その矢先に時空の亀裂のような空間が発生し
僕はその空間に吸い込まれた。


ふわふわと、体が軽いような気持ち。
幻想的な空間に、ぽつんと一人。



「モチモン…。」

呟くように離れてしまった
パートナーの名を呼ぶ。




僕の傍に来て…、一人にしないで…。


心の中で強く、そう思った。



すると目の前に黒いシルエットが現れ
少しずつ、形が明らかにになっていった。



「モチモン…?」

「…光子郎はん、?」


淡いピンク色の身に、もっちりとした手。
それが自分のパートナーだと解った瞬間
光子郎はモチモンに抱きついた。


「光子郎はん、苦し…っ」

「ああ、ごめんよ。だけど…」


どうして自分の目の前にモチモンが
現れたのか、解らなかった。

さっきの爆風で、お互いかなり遠くまで
飛ばされたはずなのに。


どうしてこんなに早く会えたんだろう…



「光子郎はん、どないしましたん?
なんや難しい顔して…。」


光子郎の表情を察して心配したのか
モチモンが声をかけてきた。


「いや、こんなに早く合流出来たなんて…ね」


「…まぁ、わてら一緒になれたんやさかい
それでええがな。」


呑気に笑っているパートナー。


光子郎は眉間に皺を寄せ、
また難しい顔をする。



何故こうやって会えたのかを考えていると
目の前に居るパートナーではない、

君の声がした。



(光子郎はーん!)



何度も何度も自分の名前を呼んでいる。
何処から聞こえてくるのか解らないが
確かにパートナーの声だ。


じゃあ、目の前に居るパートナーは
何者なんだ?


まず此処は何処なんだろう。
明らかに先ほど居た世界とは違う。


「とりあえず此処から出よう」

さっきの戦闘で疲れているだろうと思い、
光子郎はモチモンを抱いて
ふわふわとしている空間を歩き始めた。


「わてが光子郎はんより大きいなれたら
負ぶってもらう事ないのに…すんまへんな」

お世話かけます、と頭を掻きながら
モチモンが言うものだから、
自分より大きなモチモンを想像して少し笑う



すると、みるみるうちに
モチモンの体が巨大化して
光子郎より大きくなった。


「わわ、ほんまに大きいなりよった」

「あ…、」


自分より大きい幼年期のモチモンが
成長期へと進化したらカブテリモン位の
大きさになってしまうのではないかと、
ふと思ってしまった。


するとモチモンは原寸より遥かに大きい
テントモンへと姿を変えた。

「…光子郎はん、小さい」

「テントモンが大きすぎるんだよ」


光子郎のその一言で、原寸へと
シュルシュル戻っていくテントモン。


光子郎の背丈の二倍ほどの大きさで、
また姿を変えた。




「え…、テント、モン?」



赤髪、綺麗な黄緑色のした瞳、
少し猫背だが、型の良い人の体つき。


「今度はなんやぁ?!」


テントモンであろう人が、
あたふたと自身の手や体を見ていた。


「わて、光子郎はんと同じ、
人間になっとる…?」


黄緑色をした瞳が光子郎を
問うかのように見つめる。

光子郎は唖然としつつも、
その綺麗な瞳に吸い込まれそうになり
顔に熱が集まりだした。



「テント、モ…っ」


気の抜けたような声を出し、
名を呼び終える前に口を塞がれた。


唇には柔らかい感触がし、
今されている行為を把握する。

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