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□幸せ、見つけた
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背が低い、
僕の悩みごと。



「太一さん、」

「ん?」



「どうしたら貴方みたいに
大きくなれるんでしょう。」


頭一つ分くらい
僕より背の高い太一さん。

一つしか歳は離れていなくて、だけど体は
太一さんの方が遥かに大きくて。



「そんなの解ってたら
俺はもっとデカくなってるぜ?」

そう言って、
へらっと笑っている。



普通の子より背が低いだけで
周りから見れば些細な事かもしれない。



だけど、僕にとっては…。



「そうですよね…」

呟くように小さな声で
僕は太一さんに相槌を打つ。

そして、ため息を一つ吐いた。



そしたら太一さんが僕を包むように
優しく、抱きしめてくれて。


「わ、…太一さん?」


「光子郎は、そんな事
気にしなくても良いんだぜ?」


それも個性で良いじゃないか
と、太一さんが言う。




太一さんの腕に包まれて、
ふんわりと大好きな匂いがして

ふと思った。



こうやって抱きしめてくれるなら
小さくても良いかな、なんて。




「あの、…ありがとうございます」


僕がそう言って微笑むと
太一さんもにっこりと微笑んで、
優しく頭を撫でてくれた。


そのまま、しばらくの間
僕は太一さんの胸に頭を沈め、
小さな幸せを噛みしめた。


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