長編・第一部

第八章 対決
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謎の抗体『X‐naught』を奪り還えせ!

第八章   対決



 今…、私は暗い闇の中に立っている…。

前も後ろも、右も左も、上も下も真っ暗だった…。

此処は何処だろう…。

随分と長い時間、此処に居る気がする…。

何でこんな所に居るのだろうか…?

真っ暗な中で、急に孤独感が襲ってきた。

誰も居ないのに、誰かの温もりを求めてしまう…。

……蛮さん――――――…。

貴方に…会いたい――――――……。

でも……。






 『地下実験室』へと続く廊下。

蛮は、一向に見えてこない桜羅の眠る部屋を探していた。



「クッソ…、何処にあんだよ…」



何処まで行っても同じ廊下が続いている。

いい加減、飽きてきた…。



「時間がねェってのに……。……桜羅…」



しばらく廊下を走る。

煌々と照らすライトを恨めしげに見上げながら。

途中、幾つか扉はあったのだが、そのどれにも桜羅は居なかった。

やがて――――――……。



キンッ――――――…



「――――――っ!!」



蛮は突然立ち止まった。

何かの気配を感じた…。

そう…、以前にも感じた事のある、――――――殺気…。



「………夏彦…」



蛮自身、こんな所で懐かしい相手と再会するとは思ってもみなかっただろう…。

『女神の腕』の奪還の仕事以来だ。



「……まさか、こんな所でまた会う事になるなんてな………。乗ってやるぜ…今回はよぉ……」



そして静かに、蛮は真っ直ぐ廊下を歩いていく。

避けられない戦いに勝利し、大切なものを奪り還えす為に――――――…。
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