The Kingdom of GodU
□第二章 旧王家の血液
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まるで揺り篭の中にいるかのよう……絶えずほんの少しだけ揺れる空間、それが私の生まれた場所だと親から聞かされている。
ほとんどの人間は生まれた時の記憶なんて無いというのだが、私はほんの少しだけ覚えている。
両親が私を覗き込んでいるというものだ。生まれたばかりの子供には視力がほとんどない、だから両親の顔色はきっと気のせいだったのだろう。
私を見て父親が何かを言っていた。そして同時に私に“モノ”を握らせたのだ。
それがたぶん物心付いた時には常に持っていた薄い紫水晶だったのだと思う。