The Kingdom of GodU

□第三章 仮面の下には
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同じようなスーツを身に纏った男達は気絶している一人の女性の周りに集まっていた。未だ目覚めない彼女はその汚い空間に似合わない少し立派なベッドの上に寝かせられている。

三十代後半だが皴一つない肌といい、永遠を約束された人形のように美しい女だった。

よく見ると首には赤い痣のようなものがある。手当てが施されているがまだ治らないそれは見ていて痛々しものだった。

日差しが辺りを照らしていくに連れて女の髪の色が緑から碧へと変化していった。それに少し遅れてまぶたが徐々に上がってゆく。

一人の小太りの男がより女に近づいた。森のような緑の瞳は彼を捕らえたまま暫く停止し、首を傾げた。

「…私、確か船の上にいたはずなのに。」

その口調は普段の彼女とは何か違うものがあった。幼い少女のようなまっすぐな瞳で女は尋ねる。

「おじさん達は誰?パパとママは何処にいるの?」

男達は目を見開きそれぞれ口を開く。一番彼女の近くにいる男は口を開いたきり動けずに立ち尽くしていた。
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