The Kingdom of GodU

□第九章 胸に秘める思いは
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コーラルと別れた後、俺は殿下の部屋の前の肖像画が飾られている廊下にいた。主に見ているのはマリアラム女王陛下の夫であるバリローチェ陛下だ。

葡萄のような艶やかな髪は王子と同じ、しかし彼の赤褐色の瞳は俺と似通っている部分がある。当然だ、彼に似ているからここに連れて来られたのだし、遠い昔に亡くなった大切な家族はこの人がいたために人生が狂ったのだから。

しかし彼を憎いと思ったことはない、最大の悪魔に忍び寄る絶好の機会を与えてくれたのだ。首にかかる二つの金属版と指輪があの日の記憶を蘇させる。

突然扉が軋む音が聞こえ、王子の部屋が開いた。大きな扉の影から現れたのはコーラルと同い年くらいの女で普通の人に比べてとても細い。俺は内心穏やかではなかった。

「こんにちは」

とりあえず怪しまれないように挨拶をしたが、過剰なまでに怖がられてすぐに柱の影に隠れてしまった。しばらくして蚊の鳴くような声で返事が返ってくる。

どうやら彼女はかなり人見知りが激しいようだ。無視して通り過ぎればよかったのだが、しばらく柱に向かって話しかけていた。

最初は興味本位だった。






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