The Kingdom of GodU
□第十五章 復讐劇
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幼い自分を育ててくれた若い叔母、この命がある限り感謝をし続けようと誓った女性が殺された日を俺は決して忘れられない。
戦時中でなくとも、身寄りのない十六歳の少女が甥と共に生きるのは難しい。きっとやりたいこともあっただろうに、俺がいてよかったと笑いかけ、俺に学問を学ばせる資金を稼ぐために軍に入った。
優しく強かった叔母は世話を焼いていた後輩らに殺された。その後輩達は王政だった当時に反逆組織に加入していて、現在では政治の中核となったラリー=ウェッジリーグ大統領と部下二人である。
俺は海を越えて逃げ延び、幼いながらも復讐を誓った。そして今回の、大統領が人気取りで始めた王族探しは絶好の機会となった。
元々母方のヒルティ家は御三家ブラウィン家の影武者を担ってきた家柄である。レイ王子の祖父にあたるバリローチェ様が玉座を乗っとる前、一度追放された際に路頭に迷い、敵国アナトリアへと移り住んだ。
つまり俺はアナトリアで生まれ育ち、一族の祖国であるイリュシェへ逃げ帰ってきたことになるのだ。
どちらにしろバリローチェ殿下には感謝せざるおえない。代々伝わる赤い瞳は復讐の舞台に立つ条件を満たし、毒に慣れさせられていた体は心強い武器となった。
また彼は復讐に使う駒も用意してくれた。肖像画が掲げられていた廊下で出会った憎い復讐相手の娘、大統領令嬢のロゼ様のことである。
そう思っていた。
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