The Kingdom of GodU

□第二章 旧王家の血液
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重い瞼をゆっくり開く、船上での朝の始まりだ。確か今日は陸に降りる日だった。

あくびをしながら上半身を起したが馴染みのある風景とは全く違うものが周りを囲んでいた。

そのことに驚き、立ち上がろうとするといきなり腕を捕まれ、私は反射的に掴んだ相手を睨んだ。

「えっえーと……驚かせて申し訳ありません。」

美しい黒髪に紫水晶の瞳の青年は私の顔を見て申し訳なさそうに手を離す。

吸い込まれるようにその瞳を覗き込んでいた私、そのまましばらく時間が流れて口を開く。

「…船員のお兄さん?」

どこからどのように眺めても私の想い人がそこにいた。いつもは無表情としか表現できない顔が今は悲しそうに見えた。

心の一部でこのような新たな一面に出会えたことに嬉しく思っていた。しかし同時に好きな人の名前も知らない自分が嫌になる。

「はい、リオルド様気分は如何ですか?頭に強い打撃を加えられたのであまり動かない方がいいと思いますが。」

青年は私の後頭部に手を伸ばす。ひんやりとした感覚が髪の毛ごしに伝わって痛みが激しく私を襲い思わず顔を歪める。

「…すいません。リオルド様を巻き込んでしまって。」

青年はよそよそしく私の頭をゆっくり撫でると手を引っ込めた。彼は右手に光る腕輪を見てまた悲しそうな顔を浮かべる。その時やっと“昨日の出来事”を思い出した。
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