The Kingdom of GodU
□第三章 仮面の下には
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深い眠りから浅い眠りに差し掛かり、不思議な感覚に目を覚ます。私は倒れたときと違う場所にいることに気が付いた。
両側に大きな肖像画がいくつもかかっている豪華かつ薄暗い廊下だ。進む度に同い年くらいの似たような顔の人が重たそうな衣服を纏っている絵が続々と姿を表す。
あまり大きな建物に入ったことがない私には興味がある分野だが今はとても恐ろしく感じた。心なしか両側の肖像画の人々が歓迎してくれていないような気がして止まない。
「気分悪そうだけど大丈夫?」
廊下の終り、扉の前で止まったとき頭の上から男の声が聞こえてきた。顔を上げると目の前の肖像画と同じ顔が現れて心臓が飛びはねる。
男は一瞬停止した私の口に手を置くとめんどくさそうに耳元で「へたに騒ぐなよ」と囁き私を床に下ろしてくれた。地に足がつき再び男を見上げるとそれはよく知っている男性で安心感が満ちる。
「レ……船員さん。」
青年は私が騒がなかったためかほっと息を吐いてから微笑んだ。
「レイでいいですよ。リオルド様。」
ふと彼の後ろの肖像画に目をやり彼と見比べる。肖像画の人物は何処かで見たような人で彼とそっくりだったが目の前の柔和な微笑みを称えている彼とは全く別人だった。
そして改めて彼の顔を見つめ、口を開く。
「じゃあ……そう呼ばせて下さい。それと私のことも名前で呼んで下さい。苗字で呼ばれるのはあまり慣れていないんです。それに。」
そこで私は口を閉ざした。いきなり先日会った小太りなおじさんの姿が脳裏に浮かんだからだ。