The Kingdom of GodU
□第四章 組織の裏側
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「おーまだ人がいたのか、よかったぁ。」
振り向くと隣にいる無愛想な青年より二、三歳くらい年上の男性が息を切らしていた。
短い明るい茶色のような赤毛に赤銅色の瞳の男性は無邪気で人当たりのよい微笑みを浮かべている。探るような形相で睨むレイとは正反対だ。
「ルカ・ヒルティ・ラースだ。二人ともパーティー行くんだろう?よろしく。」
「あ、こちらこそ。」
「お嬢ちゃん美人だねぇ、嫁にもらいたいくらいかわいいよ。」
囁く彼に苦笑いを浮かべ差し出された手に触れようとしたとき、レイは横から入ってきて彼の手を硬く握り占めた。
「レイです。こちらはコーラル、どうぞよろしく。ところでパーティーとは何のことでしょう?僕達は何も聞かされてないのですが。」
先ほどの態度とは違い好青年の皮を被った彼は笑いながら必要以上に力を込めて手を握っている、対して敵対心に気が付かないルカは微笑んでいた。
「知らないのか?今日はこの島を治めていたライディエン朝の生き残りのお披露目会みたいなもんだろ?まぁこれで俺達解放されるな。」
歩き出した彼等を追うように後に付いて行く、少し小走りしながら口を開いた。
「カンバード朝ですよ。ライディエンは大戦争で敵だった旧イリュシェ共和国の王朝です。それに解放って……家に帰れるの?」
その質問を聞き終えると青年は勢いよく振り向いた、歩きながら行うとは器用な人だ。その顔は驚きと興味に満ちた子供のような表情をしている。
「アナトリアの首都がある島から連れて来られたのか?わざわざ拉致してくるなんてBFRもよくやる。もしかしてレイが」
「質問に答えろよ。だいたいなんだその組織のような物は?へらへらしてないでさっさと知ってること言え。」
マイペースな男にジロジロと見られ限界に達したのか軽蔑の眼差しで本音を暴露し始めた黒髪の青年、その変貌ぶりに動じない赤毛の彼は無神経に磨きがかかっているのだと思う。
「まぁ怒るなよ、カルシウム足りてるか?解放されたら搾りたてのミルクをもってきてやるよ。」
「結構だ。それより言え。」
レイが最後の言葉を発した直後、青年は勢いよく振り返り私達にわかるように右手の人差し指を唇の前で立てた。