The Kingdom of GodU

□第四章 組織の裏側
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濃い灰色のワンピースに同色の靴を履き、髪を二つに結わえられて同じ色のリボンを付けられた。それでも物足りなさそうにしているメイドを差し置いて彼が待っている扉の向こうへと急いだ。

扉を開くと大きなソファに座っている身なりの良い青年がすぐに目に入る。彼の周りは異常に人口密度が高いからだ。

若いメイド達が彼の周りを囲み自己アピールを次から次へと繰り広げている、そんな彼女達に向けている笑顔は好意的に見えたが目が笑っていなかった。

その冷ややかな瞳がこちらに向けられ背筋が逆撫でられるような悪寒が走った。

「すいません、連れの用意が出来たようなので。」

彼は素早く立ち上がり私に歩み寄る。そんな彼の背後から私を睨むお姉さん方の視線がとても痛い。

また引きずられながら部屋を出て行き、笑顔で見送る彼女達がいる部屋の扉を彼はしっかりと閉めた。

青年はため息を吐いてからゆっくり歩き出す。先ほどとは違い、私の歩調に合わしてくれているようだった。

どちらも口を開かず痛いほど静かな空気が流れていた。このまま薄暗い肖像画が飾ってある廊下を抜けるのは不気味で耐えられなかった。
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