The Kingdom of GodU
□第四章 組織の裏側
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「なんだよ彼女のほうが物知りじゃん。いろんな意味で負けっぱなしだなお前。」
無言だが何か言いたげな冷たい視線。言い返さないのは話を脱線させない為だろう。
食い付いてこない相手に飽きたのか再び話が再開する。
「『象徴』と『民主国家』っていうのは大統領の臣下考えた表向きの口実なんだよ。本当は大統領が独裁政治をする為の王族探し。」
「どういうことだ?」
意味が解らず首を傾げる私の代わりに質問が横切った。やっと食い付いてきたレイに今度は真剣な表情で口を開く。
「大統領は多くの国民が支持している王族の生き残りを何らかの形で殺害して完全な独裁政治を成立させようとしているんだ。」
新事実に驚く暇を与えず話は淡々と進む。そんなことはありえないと反論したいがあの男ならやりかねない。
「でもわざわざ探さなくても粛正でもういない筈だろ?そのことを国民に納得させれば。」
「数年前、イリュシェの宮殿とアナトリアの城跡から石板が見つかり、この宮殿から日記とある女性の記録が発見されたんだ。」
質問と噛み合わない彼の答えにレイまでも眉を寄せる。大統領に飽々している私はこのとき『昔の宮殿なんだ。』と頭の中で繰り返していた。
「石板は記録が残りやすいので戦前条約などを記すのに使われていた。内容はライディエン朝王太子と有名なラベンダー姫の政略結婚についてだ。」
「ちょっと待って……ラベンダー姫は現実に存在した人なんですか?」
緋色の髪が揺れ、彼は扉に手をかけた。深く息を吐くと指に力を入れ始める。
「首都では大統領が監視しやすいからなぁ。そうやって王族生き残り説を潰しているんだよ。」
続けて彼は口を開いた。
「ラベンダー姫やティーシャ后の記録が残っているからこの組織があるんだよ。」