The Kingdom of GodU

□第五章 彼の玉座
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大統領は前で睨みを効かせている青年よりも、私の後ろにいる赤茶色の髪の男性をまじまじと見ていた。全てを観察するような視線が私にも撫でるように全身を這う。

「瞳の色から察するに御三家、ブラウィン家の縁の者という疑いで連れて来られたのだな。名は?」

「ルカ=……ヒース。拉致されるまではイリュシェ歴を研究していました。」

彼は歯切れ悪い自己紹介をした。私は驚いて振り向きそうになったが、背中を軽く叩かれて姿勢を直す。

「面白い。通称『吹雪のヒース』はライディエン朝第三十八代君主マリアラム=カンバード=ライディエン女王陛下のことだ。その夫はブラウィンの者、気に入った。」

ラリー=ウェッジリーグは哄笑し、それが収まるころに再び私達の顔を褐色の瞳で眺め始めた。顔を見ていた彼の視線が急に下に落ち、不気味な笑みを称える。

生唾を飲み込んだ直後、彼は忘れられていた外野の人々に声を掛け始めた。
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